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明日も 8 最終話


ひるなかの流星   明日も⑧ 最終話
Rです。


大輝が諭吉に事情を話すと、まだ仕事が残っていて帰ることが出来ない諭吉に、家に帰って冷やしてやってくれと、あとのケアを頼まれた。

諭吉も言いたいことは山ほどあったが、自分が悪いと分かっていて落ち込むすずめに、これ以上追い討ちをかけたくはなかった。
本当は家で2人きりになどしたくはなかったが、話し合いも必要であることから、渋々、大輝に家に上がることを許可した。

「これ、腫れるかもしれないぞ?」
マンションの部屋に上ると、大輝は冷凍庫から保冷剤を出してミニタオルで包み、すずめの頬にあてた。
「痛い〜」
自室で絨毯に腰を下ろして頬を押さえるすずめは、涙を目に浮かべ、ベッドに腰掛ける大輝を見上げる。

「何で、もっと堂々としてないんだよ?俺ら付き合ってますって言えばいいじゃん。俺と付き合ってんの恥ずかしい?」

本当にそう思っているわけではなかったが、すずめが何故こんなにも自分と付き合っていることを隠していたのかが分からなかった。
すると、すずめは慌てたようにブンブンと首を振った。

「違うっ!私が…私が、自分に自信がないだけ…。大輝に釣り合うようになりたいのに…どんどん、遠いところに行ってしまう気がして…」

「俺…お前のために頑張ってんだけど…?」
そんなことも伝わっていなかったのかと、大輝はため息混じりに言った。

「えっ?」

「お前に少しでもいい男って思ってもらえるように、頑張ってんだよ。なあ、ちょっとは分かれよ」

大輝は、床に座るすずめを後ろから抱き締めると耳たぶをペロリと舐め、囁くように言った。
「うひゃ…」

「俺がどれだけお前のこと好きか気付いてないだろ?」

「気付かせてやろうか?」
熱のこもった目で誘うように、口の端を上げて笑う。
こんな顔はすずめにしか見せない。

床に座るすずめをベッドに持ち上げると、腰を引き寄せ抱き締めた。
すずめの身体が小さく震える。
頬に額に優しく口付けると、すずめは大輝の首に腕を回した。
待ち侘びていた唇にキスを落とされると、それだけですずめの目が、表情が、熱情のこもったものに変わる。
すずめの舌を吸い、舌を絡ませて口腔内を愛撫する。
「っ、ん…はぁ…」
飲みきれなかった唾液がすずめの顎を伝って流れ落ちる。
キスだけで、足を開き腰を揺らすすずめは、いつもの手を繋ぐだけで恥ずかしそうに頬を染めるすずめとは別人のようだ。
「大輝っ…はぁ、ん…好き…」

ブラのホックを外し、服の上から2つの突起を弄ると、白いブラウスにツンと立ち上がる乳首が透けて見える。
人差し指でコリコリと摩り、敏感なソコを爪で弾いた。
「んんっ…あっ」

ブラウスのボタンを全て外し、普段は隠れている場所へ、赤い花びらを散らす。
つい耳たぶのすぐ下に、強く吸い付いてしまったのは、他の誰かへ所有の証を見せつけたかったからなのか。
すずめもまたお返しとばかりに、大輝の首を強く吸った。

胸への愛撫を再開すると、すずめは堪らなくなり腰を攀じる。
「大輝…今日っ、も…ダメかも…あぁっ」
「ダメ?」
「なんか…もぅ、イッちゃいそ…っん。お願い…挿れて…」
すずめに潤んだ目で挿れてと懇願され、すでに準備万端に熱くなっていた性器がさらに大きくなった。
「まだ…慣らしてないだろ」
「大丈夫だから…もぅ、欲しいのっ…」

大輝はすずめの下着を取り払う。
「ココ、もうビショビショ…痛くなさそうだな」
足を抱え開かせると、大輝の熱り勃った塊を一気に挿れた。
「あああっ!」
グチュリと抵抗なく飲み込むと、最奥に挿れた瞬間に中がキツく締まり、すずめの身体がビクビクと跳ねた。

「こら…飛ばし過ぎ」
まだ動いてもいないのに、あまりの気持ち良さに大輝も達しそうになる。
頃合いをみて律動を開始する。
「あっ、あっ…はぁっ、あぁ…ソコ気持ちいぃっ」
達したばかりのソコから、すずめの愛液が溢れて接合部からグチュグチュと卑猥な音が響く。
「ここ?おまえ…っ、奥突かれるの好きだよな?くっ…」
「んっ…うんっ…それイイッ」
「俺もっ、イキそう…」
パンパンと腰を打ち付けて、最奥を何度も貫くと、すずめの身体が弓なりにしなる。
「もぅ…イッちゃうっ…あぁぁっ!」
「くっ…俺もっ」
繋がったソコから、大輝の精液がトロトロと溢れてくる。


大輝は達しても大きいままの性器を抜かずに、すずめの身体を横向きにし、後ろから貫いた。
「あっ…大輝っ、まだおっきぃっ」
角度を変えて奥を貫かれると、すずめは自分の中の全部が性感帯なのではないかも思うほど、どこに当たっても気持ち良かった。
「なぁ…俺ら、身体の相性、かなりイイよな…」
「あぁっ、そんなのっ分かんな…はぁ、他の人としたことないじゃん…あっ」
それはもちろんそうなのだが、大輝は、他の女を抱いたとしてもすずめとのSEXほどの快感を得られるとはとても思えなかった。
他の女との行為を想像するだけでも、気分が悪くなる。
すずめもそうなら嬉しいのだが。


マンションに帰って1時間も経たないうちに3度もイカされ、服を着たまま行為に及んでいたために、着ていた服がヨレヨレになってしまい、仕方なくすずめは部屋着に着替えた。
髪を撫でる大輝にすずめがポツリと漏らす。
「ずっと、不安だった…。大輝が、今日も私のこと好きでいてくれますようにって。明日も好きでいてくれますように…そんなことばっかり考えてた」
大輝はすずめの言葉に心外そうな顔をするが、それでも優しく頭を撫でる。
「不安、なくなった?」
「うん…身に染みた…」
すずめは大輝の胸にギュッと抱きつくと、顔を寄せた。
「そりゃ、よかった。おじさん、あと2時間は帰ってこないよな?」
「えっ…?」


***



大輝が帰ったあと、すずめは緊張しながらも、明日話があると伊織にメールを送った。
すぐに返ってきたメールにいいよとあって、すずめはとりあえずほっと息をつく。
しかし、いつものスタンプ満載の内容ではなかったことが、今の2人の距離だった。


翌日、大輝に言われるがまま、朝待ち合わせをして大学まで手を繋いで来た。
所謂恋人繋ぎをされて、すずめは赤くなった顔を隠すように、俯きがちで歩いた。
途中淳平ともすれ違うが、すずめは何も言わず軽く会釈をして通り過ぎる。
淳平からは大輝に聞こえないように、「幸せそうだね」と笑って囁かれた。
もちろん大輝がそれに気が付かないはずがない。
チラリと視線を向けるが特に何も言うことはなかった。


伊織と待ち合わせをしていた大学内のカフェテリアに行くと、すでに伊織は来ていた。
繋いだ手を離すことなく、伊織の座る席に向かうと、伊織も気が付いて顔を向けた。
視線が繋いだ手に向けられていることは、すずめでも分かる。

「伊織…昨日はごめん。今更だと思うけど、紹介させて。馬村大輝さん、私の高校の頃から付き合ってる彼氏です。私…大輝のことが好きなんだ。紹介するの遅れてごめん…」

「バカすずめ…もっと早くに紹介しなさいよ!」
伊織は涙で潤んだ瞳を隠すように、無理に笑った。
一瞬だけ大輝に視線を向けるが、もう過去のこととでも言うように、涙を流すことはなくすずめをよろしくね、と言った。
伊織が受け入れてくれるしか、また友人に戻れることはないと2人共分かっていたから。
それぐらい、伊織にとってもすずめは大事な友達だった。

「伊織…ありがと」
すずめは泣きそうになるが、自分だけは絶対に泣いてはいけないのだと、唇を噛み締めた。
伊織が背を向けて歩き出すと、すずめの目から涙が溢れる。
少し時間はかかるかもしれない。
でも、また気の合う友人同士になれる日が来ると信じて、すずめも大輝と手を繋ぎ歩き出す。


***


行為のあと、疲れて寝入ってしまったすずめに布団を掛けて、部屋を後にすると、リビングには諭吉が座っていた。
いつ帰ってきたのかとは、諭吉の放つ雰囲気から怖くて聞けず、お邪魔しましたと声を掛けると、諭吉がゆっくりと振り向いた。
「馬村くん…勘弁してね…」
「はい?」

「デキ婚だけは…勘弁してね…」
低い声で言われて、大輝の背中に冷たい汗が伝い落ちる。


fin


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明日も 7

ひるなかの流星   明日も⑦



講義のあと、提出するための課題を図書室でやっていたらすっかり遅くなってしまった。
しかし、すずめが今日バイトなのを知っていたし、そのあと同じ方向に向かうのだから、家まで送っていくか、すずめのおじさんが許すのであればどこかに寄って行くかと誘うつもりだった。

店内に入ると、すずめはバックヤードに下がっているのか見当たらず、何故か気まずそうな顔をする諭吉に、やたらと話し掛けてくる女がいた。

最初は誰だか全く分からなかったが、定期を拾って頂いてという言葉で思い出した。
どうやらすずめの友人らしいが、バックヤードから出てきたすずめが、押し黙り俺と彼女を交互に見て居た堪れなさそうにしている。

「もうすぐ終わりだろ?出掛けるか?」

大輝が言うと、女は何かに気が付いてとても傷付いたような顔をすると、店を飛び出してしまう。

「あの、何があったんですか?」


諭吉もすずめから聞いたわけではないが…と、伊織が話していた内容を含めて大体のことを説明した。
「馬村くんのことが好きで、すずめに相談してたみたい。でも、すずめは自分が彼女だって言えなくなっちゃったんだろうね。俺はよく知らないから、あとは本人に聞いて」

あいつは相変わらずバカだな。
すずめを追いかけるように大輝も席を立つ。


***


「待って!待って!伊織っ」
伊織が店から飛び出してあてもなく走り出すが、足の速いすずめにすぐに追いつかれてしまう。
「私のことっ、バカにしてたんでしょっ!?」
「違うっ!」
逃げ出そうとする伊織の手をギュッと掴んだ。

「言えなかった…ごめんなさい。友達だから、大事だから…言えなかった」

ゆゆかのときと同じだな。
何故自分は同じことを何度も繰り返すのか。
ゆゆかは許してくれた。
伊織は許してくれないかもしれない。

初めての場所などでは、人見知り傾向にあるすずめに、入学式で話し掛けてくれた伊織。
水族館がお互い好きで、色々な海洋生物の話をした。
こんなにも、趣味の合う友人は中々いないと思っていたが、何も好きな人までかぶらなくてもいいではないかと呪いたくなる。


伊織の振り上げた右手が、すずめの左頬にあたる。
「友達だなんて思ってないでしょ!?わたし、すずめちゃんの彼氏紹介してもらえないの寂しかった!その程度の友達なのかって寂しかったよ!最初から言ってくれてたら…私だって好きになんかならなかった!恋なんかしなかったのに!」


***


大輝が店を出て、2人を探すと、大きな声で口論している様子が聞こえる。
事情を知った今、自分が2人の前に出て行くことが良いことなのか分からなかった。
すると、伊織がすずめの頬を思い切り叩くのが分かった。
大輝は、例え女とは言え、すずめに手を上げたことに苛立ちを隠せない。
すずめが何も言えずに黙っていると、また伊織が手を振り上げた。
すずめは、それを甘んじて受けようとしている。
大輝は、ギリギリのところで伊織の振り上げた手を掴んだ。

「なにっ!?…あ…」

驚いて目を見開き、手を掴んだ相手が大輝だと知ると、伊織は泣きながら大きな声で叫んでいたことを急に恥ずかしく思ったのか顔を真っ赤にして立ちすくむ。

「悪いけど…それ以上は止めろ。こんなんでも、俺にとっては一番大事な人だから。こいつバカだけど、友達に嘘吐いて平気な顔していられるような女じゃない。それは分かってやって。」

大輝が言うと、伊織は無言で唇を噛み締め、背を向けて走って行ってしまった。


***


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明日も⑥

ひるなかの流星  明日も⑥



すずめのバイトのない日は、カフェでお茶をしたり、ショッピングに出掛けたり、大学の外でもすずめは伊織と仲が良い。
この日も、講義が午前だけで終わり、伊織と近くの行きつけのお店へと足を運んだ。

この間、大輝と話しているところを見てしまったが、すずめは立ち話していただけなんだからと、無理に忘れることに決めた。
大輝のことを疑いたくなんてなかったし、伊織もすずめにとっては大切な友人だ。

「すずめちゃん、何にする?」
大学の帰りに寄るいつものカフェで、伊織と向かい合わせに座る。
「うーん、シーフードのクリームパスタ…かな?」
「それ以外頼んでるの見たことないよ…もう、いつものって言えば通じるんじゃない?」
「えっ!そうだったっけ!?」
注文を取りに来た顔馴染みの店員も、確かにそうですねと頷いた。
「ほらね〜」
2人は顔を見合わせて笑う。


注文した料理が運ばれてくると、伊織はすずめに相談したいことがあると、切り出した。
「あのね…1週間くらい前…かな。落とした定期を拾ってくれた人がいたの。すずめちゃんに言うの超恥ずかしいんだけど…私、一目惚れしちゃったみたいで…」
頬を染めてそう言った伊織はとても可愛くて、伊織が誰のことを言っているのかすぐに気が付いたが、すずめはどうしていいのか分からずに、そっかと相槌を打った。
先週起こった事の顛末と、とにかくカッコイイのと大輝を褒めちぎる伊織の話は、そこで終わるかに思えたが、思ってもみなかったことを言われる。

「でね、その人医学部みたいなの…。すずめちゃん!お願い!すずめちゃんの彼氏から紹介してもらえないかな?」
名前は馬村くんっていうみたいなんだと明るく言われて、すずめは青ざめながらも、聞いてみると答えるしかなかった。


伊織に、その人は私の好きな人なんだよと言えれば楽なのに。
大輝と伊織のツーショットは、すずめとのものより遥かにお似合いで、何故自分が大輝の隣に立つことが出来るのか不思議だった。
もしも大輝が伊織を選ぶなら、すずめには何も出来ない。
人の気持ちは変わるもの、それをよく知っているすずめだから。


大好きなシーフードパスタの味が全く分からない。
伊織も言葉が少なくなったすずめに、具合が悪いのと声を掛けるが、すずめは何でもないと首を振るしかなかった。



***



伊織に定期を拾ってくれた王子様についてを打ち明けられてからは、事あるごとに大輝の話題が上るようになった。
伊織はすずめにしか話していないということもあり、自身の片思いを話したくて堪らないようでもある。

すずめは、大輝を大学内でたまたま見かけるということはあまりなかったために、接点のない伊織はもっとであろうと思うが、すずめの予想に反して、昨日は帰りがけに見かけた、一昨日は駅近くのコーヒーショップにいたと目撃情報が上がってくる。
大輝と付き合っている事を伊織に言わずに、ズルズルと引き延ばしてきたせいで、もう正直に言う事が出来なくなってしまっていた。

「あ、今日私バイトなんだけど、おじさんが伊織連れて来てもいいって。夕飯ご馳走するよ」
ずっとすずめのバイト先に行きたい、おじさんの料理が食べたいと切望されていて、やっと諭吉に話を通すことが出来た。
「ほんと〜!?嬉しい!楽しみ〜」
すずめははしゃぐ伊織を連れ立って、諭吉の店へと急いだ。


「おじさーん、伊織連れてきたよ。伊織…カウンター座っててくれる?」
「はいよ。伊織ちゃん?いらっしゃい。いつもすずめがお世話になってます」
「いえっ、こちらこそお世話になっております。嵯峨野伊織と申します。今日はお招き頂きありがとうございました」
丁寧に挨拶をする伊織を、諭吉はとても気に入ったようで、いい子だねとすずめに耳打ちをしてきた。

賑わっていた店内も段々と落ち着いて、伊織の食事もそろそろ終わりそうだ。
平日の夕飯時はすでに過ぎている時間帯のため、客は数人のみで、すずめはカウンター越しに伊織に話し掛けた。
「お味はどう?」
「ものすっごく美味しい!すずめちゃん毎日こんなご飯食べられるなんて、幸せ者だよ!」
すずめが落ち着くのを待っていたのか、はたまた独り言かは分からなかったが、伊織がポツリと呟いた。
「馬村くんに、告白しちゃおうかなぁ…。ねぇねぇ、すずめちゃん彼氏に聞いてみてくれた?」
突然伊織から、大輝の話題が出た事で、驚くのはむしろ諭吉の方だった。
その後の会話の流れで、大体の事情を察すると、友達ならちゃんとしなさいと真剣な様子ですれ違い様に言われる。

すずめのバイトの時間が、そろそろ終わりに近づき、店内の客も疎らだったため、接客を諭吉に任せ、先にバックヤードに下がり着替えをする事にした。

その時、カランコロンとドアを開ける音が聞こえる。
すずめにもその音は聞こえていたが、こんな閉店間際に珍しいなと思いながらも、あとはおじさんに任せればいいかとエプロンを脱いだ。

大輝がやってきたとも知らずに。


「あ、あの、あの!馬村くん…ですよね!?」
「はぁ」
「先日は定期を拾って頂きありがとうございました!あの、私…嵯峨野伊織と言います!」
まさかの定期を拾ってくれた王子様の来店に、伊織は興奮して話し掛ける。
大輝は、覚えているのかいないのか、適当に相槌を打っている。


「あの、すずめは?」
大輝が、諭吉に聞くと、伊織の表情が一変して黙りこむ。
諭吉は黙考するが、若い男女の色恋沙汰など関係はないと割り切って、すずめを呼ぶ事にした。
「すずめ〜馬村くん来たよ!」

先程まで煩いほどに話していた女が、突然黙り込んだことで、大輝は訝しげに伊織を見た。
そこへ着替え終わったすずめが、大輝と伊織を交互に見て、明らかに気まずそうに伊織から視線を逸らした。

「もうすぐ終わりだろ?ちょうど俺も帰りだったから寄ってみた」
伊織は全てを察して、店を飛び出した。
「伊織っ、待って!」
大輝にごめんと告げると、すずめは伊織を追いかけた。


***


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明日も⑤

ひるなかの流星  明日も⑤


翌日、すずめが大学に向かう途中、後ろから肩をポンポンと叩かれる。
「あ、やっぱり」
見覚えのない男にすずめが首をかしげると、男は嬉しそうに話し掛けてきた。
「あの…?」
「あ、ごめんね。俺、こないだ与謝野さんのバイト先の店で会った…田ノ浦淳平です。覚えてないかな?」
「あぁ、えと…すいません。何となくは…」
「ははっ、いいよいいよ!与謝野さんって嘘吐けないんだね。全く覚えてませんって顔に書いてある!」
目の前で笑いが止まらない様子の男に、すずめも幾分警戒を弱めた。
「大丈夫ですか…?」
「うん、ごめんごめん。あぁ〜笑った!」
何だか憎めない人だなと、すずめも笑顔で返した。
淳平の優しそうな雰囲気がそうさせるのかもしれない。
背は大輝と同じくらいか少し低いぐらいだが、身体の線が細いためか威圧感を全く感じさせない。
黒髪に黒縁眼鏡、着ている服もTシャツにジーンズとラフだが、自分に似合う服をよく分かっているのか、もし安物であってもこの人ならうまく着こなしそうだ。
笑うと目が細くなり、立ち姿も含めて獅子尾に似ていると思った。

「与謝野さん、選択数学でしょ?実は俺もなんだよね。たまたま近くに座ったことがあってさ、あのいつも一緒にいる友達とバイト先のこと話してて、つい気になって行っちゃったんだ」
伊織と仲良くなったばかりの頃、すずめがバイトしている叔父の店は、料理がすごく美味しいから今度来てと話した覚えがあった。
もちろん、淳平の言う″気になった″はすずめのことに違いないが、すずめは美味しい料理を出す叔父の店が気になったと思っている。
「そうだったんですか。ありがとうございます。また来てくださいね」
すずめは微笑むと、話を終わらせようとするが、淳平の話はまだ終わっていなかった。

「あ、あの、あのさ。もし良かったらなんだけど、友達からでいいから、俺と付き合うこと考えてくれない、かな?」
こんなにいい男でも、告白するとき頬を赤く染めるものなんだなと、すずめは他人事のように思った。
言葉が自分に向けられていることに、気がつくと恥ずかしさから真っ赤になってしまう。
「ええええぇ!?わた、私ですか?」
「与謝野さんって、やっぱり面白いね」
クスクスと笑って、返事は今度でいいよと足早に去ろうとする淳平を慌てて呼び止めた。
「待って、ごめんなさいっ!私…付き合ってる人がいるので…田ノ浦くんとは付き合えません。ごめんなさい」
「そっか…同じ大学…じゃないよね?一緒に歩いてるとことか見たことないし…」
「え、と…同じ大学です。医学部なんです」
「うまくいってないの…?その彼氏と」
「え?いや、そんなことないですけど」
「そっか…ならいいけど、彼氏のこと話すのにあんまり嬉しそうじゃないな、と思ってさ。あ、ごめんね。振られ男の戯言だから!」

お幸せにと振られたとは思えない笑顔をすずめに向けて淳平は立ち去った。
心の内を見透かされたような気がして、すずめはキュッと唇を噛む。


***


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明日も④

明日も④



獅子尾は、先ほどから店内のテーブル席に座る学生と話をしているすずめを目で追うと、またかと吐息を漏らす。

恋をすると女性は綺麗になる。
聞いたことはあるが、まさにそれを実感していた。
すずめが大学に入ってからだろうか、すずめに艶めいた色気のようなものを感じることが多くなった。

それはふとした時に訪れる。
眠そうに欠伸を噛み殺し、涙で潤んだ目を擦る仕種。
お皿を落としそうになって、顔を赤らめて舌を出す仕種。
仕事に入る前、長い黒髪を後ろで結び、露わになる首筋。

ゆゆかぐらい男をかわす術を身につけていれば別だが、あの様子じゃつけこまれることだってあるかもしれない。
しかも、ここでは諭吉がすずめの叔父であることは知れていて、表立ってしつこくするような輩はいないが、諭吉が席を外すタイミングを見計らったようにすずめに声が掛かるのは、獅子尾の気のせいではないだろう。

それも、自分が心配することではないのだが。

カウンターに戻ってきたすずめに、小さな声で言った。
「気をつけなさいよ…?」
「へっ?何をですか?」
キョトンとした顔で獅子尾を見つめる様子は、高校生の頃と変わっていないように見える。
「いや…色々とさ」
「…?変な先生…」
クスクスと笑うすずめに、何も言えずに溜息を吐くしかなかった。


***



すずめが大学の門を出て、叔父の店へ向かうべく大学前の信号を渡ったところで、忘れ物に気がつき戻ろうとした。
しかし、信号はすでに赤に変わっていて、間に合うかと時計を見ながら通りの向こうに視線を向けると、大輝がいた。
大学内で大輝を見かけることは初めてで、すずめの顔がつい緩む。
大輝は誰かと門の前で話をしていて、それが女性であることですずめの心に不安が広がる。
後ろ姿でそれが誰かは分からなかったが、その女性も信号を渡るところだったようで、大輝にぺこりと頭を下げる。
降り返った顔は、すずめの友人、伊織のものだった。

すずめは忘れ物を取りに行くことも忘れて、伊織に気付かれる前に、踵を返して叔父の店へと急いだ。

大輝から話し掛けていた。
もしかして、伊織と知り合いだった?
大輝と話す伊織は、自分にも覚えのある恋する女の子の顔をしていて、それが一層すずめを傷付けた。


その日のバイトは散々で、諭吉に具合が悪いなら家に帰って寝なさいと早々に帰されてしまった。


***

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プロフィール

オダワラアキ

Author:オダワラアキ
オダワラアキの二次小説・二次創作置き場へようこそ。
ひるなかの流星・花より男子・日々蝶々・君に届け・会長はメイド様の二次小説・創作置き場です。黒バス黄黒、青黒BLも書いております。
現在はオリジナルばっかりになってしまったなぁ。

こちらを読むにあたって下記注意点をお読みになってからお進みください。

このサイトは原作のある漫画の二次創作、小説です。

同人誌や、二次小説(2次創作・夢小説)に抵抗のある方はウィンドウを閉じてください。
原作者様、出版社とは全く関係ありません。

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