7th Heaven〜最高の幸せ〜11最終話
7th Heaven〜最高の幸せ〜11最終話
1年後ーーーー
「すずめちゃん!おめでとう〜。めっちゃくちゃ綺麗!」
「あんたにしてはいいんじゃない?良かったわね。ダブルの幸せで」
「ふふっ、ありがとう」
純白のウエディングドレスに身を包んだすずめは、口々に掛けられるお祝いの言葉に嬉しそうに笑って答えた。
そしてすずめの母が胸に抱く、小さな我が子へと視線を送る。
こんなにも幸せなこの日を、この子と一緒に迎えることが出来た。
それは隣に立つ最愛の人のおかげだ。
*
何の体調の変化もなく、暫く生理が来ていないことにも全く気が付かなかったすずめは、夏頃に大輝に言われて初めて気が付いたのだ。
「なぁ、最近おまえ生理いつ来た?」
「え…?いつ、だろ…えーと…あれ?」
毎日のように求め、身体を合わせている大輝がそれに気が付かないはずがなく、検査薬で調べてみるともちろん陽性。
そして病院へ行くと、すでに妊娠3ヶ月であった。
まだ豆つぶにしか見えないエコー写真を大事に持って、すずめは何度もそれを愛おしそうに見た。
「気付けよ…」
「あはは〜さすが私?」
まだ父親になるという実感は正直湧かないが、すずめが幸せそうにお腹を撫でている姿だけでも充分だと思う。
「式は出産後か…子どもも一緒に3人で結婚式しような」
「うん」
*
研修中の身であるがゆえに、まだまだ忙しさの続く大輝は、妊娠しても仕事を続けようとするすずめに、だったら家事を一切やるなと無茶苦茶なことを言った。
しかし、大輝の思うことは充分分かっているすずめは、このままでは本当に大輝が家事の全てをやりそうなことを危惧し、周りに惜しまれながらも妊娠4ヶ月で仕事を辞めた。
「なんか…仕事あるからって気張ってたからかな…。辞めてからつわりが急に来たんだけど…。う〜気持ち悪い」
「食べられる時に食べろよ?俺の飯作らなくていいからな」
「うん、ごめん…」
大好きな魚介類を受け付けなくなり、1ヶ月以上フルーツとパンで栄養を取っていたが、妊娠中の母体というのは不思議なもので、それでもきちんと子どもに栄養が入っているのである。
元々痩せ型のすずめは、5ヶ月を過ぎても妊娠していることを周りに気付いてもらえず、公共交通機関の乗り物ではマタニティーマークが非常に役に立ったのだが、7ヶ月を過ぎた頃にやっと″妊婦さん″の体型になってきた。
「もうね…ポコポコお腹蹴るんだよ。でも、私が寝るときはおとなしいの、ほら今蹴った…。分かった?」
「ほんとだ…。あ、また蹴った。元気だな」
「うん。このまま元気に産まれてくれるといいな」
「そうだな」
そして臨月を迎え、緊急の場合に備えて入院セットを常に玄関に用意しておいた。
「あのね、子宮口はまだそこまで開いてないんだけど、もういつ陣痛が来てもおかしくないんだって」
「ああ、計画出産にしてても陣痛来たらしょうがないからな…。俺がいる時ならいいんだけどな」
忙しく働く大輝にどうしても出産に立ち会ってもらいたかった為、計画出産としたのだ。
しかし、早過ぎる出産は胎児にとってよくないために、陣痛が自然に来てもおかしくないギリギリまで待ち、出産する日を決める。
そして、決められた日に陣痛促進剤を使い陣痛を起こし、人工的に破水をさせて出産に臨む方法で、完全な自然分娩とはいかないまでも、自然分娩に近い方法での出産が出来るのだ。
予定日は4月の頭だった為に、3月に陣痛が来てもおかしくはなかった。
3月では大輝の仕事の都合で、どうしても立ち会い出産は出来そうになかったのである。
しかし、4月に予定していた計画出産の日まで陣痛が来ることはなく、大輝とすずめは空気の読めるいい子だねと笑いあった。
そして、4月初旬、すずめは元気な男の子を出産した。
*
披露宴が終わりホテルに戻ると、すずめは未だにスヤスヤと眠る我が子の手をチョンとつついた。
「ふふっ、寝過ぎじゃないかな…」
3ヶ月前に出産したばかりの息子は、もう首もすわり、真っ黒で少し癖のある髪に切れ長の目をしている。
大輝とすずめの良いところだけを取ったように、綺麗な顔立ちをしていた。
すずめとしては、初めての育児ということもあり、どれだけの忙しさかも見当がつかなかった。
さらに、出産後の結婚式なんて体重が戻らなくてドレスが着られなかったらどうしようと考えていたが、毎日の母乳育児はあっという間にすずめを元の体重へと戻らせてくれるほどハードだった。
泣いては授乳、泣いては授乳…それを繰り返し、1ヶ月経った頃にやっと母乳の量も安定し、2時間、3時間と寝てくれるようになったのである。
そして、元々大きくなかった胸が豊満になるので、ウエディングドレスにはうってつけの身体になったのである。
実は産後1ヶ月を過ぎた頃から、ゆゆかに言われ結婚式の為に、ウェスト引き締めエスササイズをしていたことは、大輝には内緒だが。
披露宴中も、いつでも授乳が出来るようにベアトップのドレスで体制を整えていたが、なんと披露宴の前に1度授乳を終えてから、披露宴が終わるまでグッスリと寝ていてくれたのである。
眠い時などはグズって何時間も泣き止まないこともある為、それは奇跡に近かった。
ベビーベッドを横目に、夜の景色を映す窓に寄りかかると、すずめは大輝を見つめた。
「大輝…約束守ってくれてありがとう」
妊娠したと分かった時、もう結婚式は無理かもしれないなと半分諦めていた。
しかし大輝は、忙しい中安定期に入ったすずめを連れて式場へ見学に行ったのだった。
「約束しただろ?絶対式やろうなって」
「うん」
「俺の気持ちは入籍した時と変わってない」
「なに?」
「おまえのこと幸せにする…ずっと」
「ふふっ…もう幸せだよ?だって…」
すずめは大輝の手を取ると、胸にコツンと額を寄せた。
「私の幸せは大輝に出会えたことだからね」
2人がそっと唇を重ねると、フギャアと愛しい泣き声がベビーベッドから聞こえてきた。
fin
★★★あとがき★★★
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます!
すずめ妊娠中の話を細かく書いても良かったんですけど、そうするとながーくなってしまうので、説明っぽい文章になってしまいました。
ラストは駆け足で進めてしまったので、読みづらかったらすみません。
子どもの名前を決めなかったのも、それぞれイメージがあるかな…と思い、あえて決めませんでした。
花より男子の恋夢が終わるまで、ひるなかはしばらくお休みします。
またしばらくしたら、昔に戻って高校生編でも書こうかな…(^-^)
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1年後ーーーー
「すずめちゃん!おめでとう〜。めっちゃくちゃ綺麗!」
「あんたにしてはいいんじゃない?良かったわね。ダブルの幸せで」
「ふふっ、ありがとう」
純白のウエディングドレスに身を包んだすずめは、口々に掛けられるお祝いの言葉に嬉しそうに笑って答えた。
そしてすずめの母が胸に抱く、小さな我が子へと視線を送る。
こんなにも幸せなこの日を、この子と一緒に迎えることが出来た。
それは隣に立つ最愛の人のおかげだ。
*
何の体調の変化もなく、暫く生理が来ていないことにも全く気が付かなかったすずめは、夏頃に大輝に言われて初めて気が付いたのだ。
「なぁ、最近おまえ生理いつ来た?」
「え…?いつ、だろ…えーと…あれ?」
毎日のように求め、身体を合わせている大輝がそれに気が付かないはずがなく、検査薬で調べてみるともちろん陽性。
そして病院へ行くと、すでに妊娠3ヶ月であった。
まだ豆つぶにしか見えないエコー写真を大事に持って、すずめは何度もそれを愛おしそうに見た。
「気付けよ…」
「あはは〜さすが私?」
まだ父親になるという実感は正直湧かないが、すずめが幸せそうにお腹を撫でている姿だけでも充分だと思う。
「式は出産後か…子どもも一緒に3人で結婚式しような」
「うん」
*
研修中の身であるがゆえに、まだまだ忙しさの続く大輝は、妊娠しても仕事を続けようとするすずめに、だったら家事を一切やるなと無茶苦茶なことを言った。
しかし、大輝の思うことは充分分かっているすずめは、このままでは本当に大輝が家事の全てをやりそうなことを危惧し、周りに惜しまれながらも妊娠4ヶ月で仕事を辞めた。
「なんか…仕事あるからって気張ってたからかな…。辞めてからつわりが急に来たんだけど…。う〜気持ち悪い」
「食べられる時に食べろよ?俺の飯作らなくていいからな」
「うん、ごめん…」
大好きな魚介類を受け付けなくなり、1ヶ月以上フルーツとパンで栄養を取っていたが、妊娠中の母体というのは不思議なもので、それでもきちんと子どもに栄養が入っているのである。
元々痩せ型のすずめは、5ヶ月を過ぎても妊娠していることを周りに気付いてもらえず、公共交通機関の乗り物ではマタニティーマークが非常に役に立ったのだが、7ヶ月を過ぎた頃にやっと″妊婦さん″の体型になってきた。
「もうね…ポコポコお腹蹴るんだよ。でも、私が寝るときはおとなしいの、ほら今蹴った…。分かった?」
「ほんとだ…。あ、また蹴った。元気だな」
「うん。このまま元気に産まれてくれるといいな」
「そうだな」
そして臨月を迎え、緊急の場合に備えて入院セットを常に玄関に用意しておいた。
「あのね、子宮口はまだそこまで開いてないんだけど、もういつ陣痛が来てもおかしくないんだって」
「ああ、計画出産にしてても陣痛来たらしょうがないからな…。俺がいる時ならいいんだけどな」
忙しく働く大輝にどうしても出産に立ち会ってもらいたかった為、計画出産としたのだ。
しかし、早過ぎる出産は胎児にとってよくないために、陣痛が自然に来てもおかしくないギリギリまで待ち、出産する日を決める。
そして、決められた日に陣痛促進剤を使い陣痛を起こし、人工的に破水をさせて出産に臨む方法で、完全な自然分娩とはいかないまでも、自然分娩に近い方法での出産が出来るのだ。
予定日は4月の頭だった為に、3月に陣痛が来てもおかしくはなかった。
3月では大輝の仕事の都合で、どうしても立ち会い出産は出来そうになかったのである。
しかし、4月に予定していた計画出産の日まで陣痛が来ることはなく、大輝とすずめは空気の読めるいい子だねと笑いあった。
そして、4月初旬、すずめは元気な男の子を出産した。
*
披露宴が終わりホテルに戻ると、すずめは未だにスヤスヤと眠る我が子の手をチョンとつついた。
「ふふっ、寝過ぎじゃないかな…」
3ヶ月前に出産したばかりの息子は、もう首もすわり、真っ黒で少し癖のある髪に切れ長の目をしている。
大輝とすずめの良いところだけを取ったように、綺麗な顔立ちをしていた。
すずめとしては、初めての育児ということもあり、どれだけの忙しさかも見当がつかなかった。
さらに、出産後の結婚式なんて体重が戻らなくてドレスが着られなかったらどうしようと考えていたが、毎日の母乳育児はあっという間にすずめを元の体重へと戻らせてくれるほどハードだった。
泣いては授乳、泣いては授乳…それを繰り返し、1ヶ月経った頃にやっと母乳の量も安定し、2時間、3時間と寝てくれるようになったのである。
そして、元々大きくなかった胸が豊満になるので、ウエディングドレスにはうってつけの身体になったのである。
実は産後1ヶ月を過ぎた頃から、ゆゆかに言われ結婚式の為に、ウェスト引き締めエスササイズをしていたことは、大輝には内緒だが。
披露宴中も、いつでも授乳が出来るようにベアトップのドレスで体制を整えていたが、なんと披露宴の前に1度授乳を終えてから、披露宴が終わるまでグッスリと寝ていてくれたのである。
眠い時などはグズって何時間も泣き止まないこともある為、それは奇跡に近かった。
ベビーベッドを横目に、夜の景色を映す窓に寄りかかると、すずめは大輝を見つめた。
「大輝…約束守ってくれてありがとう」
妊娠したと分かった時、もう結婚式は無理かもしれないなと半分諦めていた。
しかし大輝は、忙しい中安定期に入ったすずめを連れて式場へ見学に行ったのだった。
「約束しただろ?絶対式やろうなって」
「うん」
「俺の気持ちは入籍した時と変わってない」
「なに?」
「おまえのこと幸せにする…ずっと」
「ふふっ…もう幸せだよ?だって…」
すずめは大輝の手を取ると、胸にコツンと額を寄せた。
「私の幸せは大輝に出会えたことだからね」
2人がそっと唇を重ねると、フギャアと愛しい泣き声がベビーベッドから聞こえてきた。
fin
★★★あとがき★★★
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます!
すずめ妊娠中の話を細かく書いても良かったんですけど、そうするとながーくなってしまうので、説明っぽい文章になってしまいました。
ラストは駆け足で進めてしまったので、読みづらかったらすみません。
子どもの名前を決めなかったのも、それぞれイメージがあるかな…と思い、あえて決めませんでした。
花より男子の恋夢が終わるまで、ひるなかはしばらくお休みします。
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