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恋夢19

恋夢19



「ほら、もうすぐ司たち来るよ?着替えな…」

類にワンピースを手渡され、つくしは渋々受け取った。
あんなにも熱に浮かされていたのが嘘のように、酔いが冷めていた。
結局スーツのスカートは皺くちゃで所々濡れていて、そのままの格好で出て行ったりしたら何を言われるか分かったもんじゃない。

「このワンピース…どうしたの?」
「ん?SPに買って来させた」
「ええっ!?いつの間に!?やだっ、あとでどういう顔で会ったらいいのっ!?恥ずかしい…」

つくしはセンスの良いワンピースに腕を通しながら、頬を真っ赤に染めた。
背中のファスナーを類に上げてもらうと、髪を手ぐしで整える。

それとほぼ同時に、ノックもなしにドアが開けられた。

「よっ!待たせたな!牧野も久しぶりじゃねえか」

ドアの開閉の音に、間に合って良かったとドキドキしながら、つくしが振り返る。

「西門さんたちも元気そうだね、良かった」
「おまえもな」

総二郎とあきらが、つくしの側に腰を下ろす。
その時ふわりとつくしから香る匂いに総二郎が気が付いた。

「なぁ…おまえ、類とヤっただろ?」
「へっ、えっ、なに…何のこと!?」

顔を赤く染めて、挙動不審になり目を泳がせるつくしは、それだけで肯定しているようなものだ。
そうやって揶揄われることが、分かりきっていたから総二郎たちを引き止めてやったのにと、司はため息を漏らした。

「あのなぁ、純情なつくしちゃんには分からないかもしれないけどな…ヤった後の男の匂いってのがあんだよ」
「そうそう。今のおまえ、まんま類の匂いだぜ?」

総二郎に続き、あきらまで揶揄いだし、つくしは頭の先から爪の先まで真っ赤に染めた。

「別にいいじゃん…おまえらの前でやってるわけじゃあるまいし」

類は平然と2人に言うが、類とのあれやこれやを想像されていると思うと、居ても立っても居られない。

「も〜エロ門っ!美作っ!あっち行け!!」

つくしはグイグイ2人を押すと、テーブルの反対側に押しやった。
そして空いたつくしの隣の席に司が腰掛ける。

「ああ、確かにな…。おまえ、類の匂いするわ…」

司はつくしの首の辺りに顔を近づけると、クンクンと匂いを嗅いだ。

「あんたまでっ?もうっ…」

「つくし…そこにシャワールームあるよ?入る?」
「そうするっ!」

VIPルームに何故シャワーが付いているのかは疑問だが、つくしは助かったとばかりに席を立った。

「…ほんと、あいつ可愛すぎ」

司の呟きに、類が鋭い視線を向ける。

「で?こんなに分かりやすくつくしを遠ざけるのは何で?」

さすが親友と、司は口の端を上げて笑った。

「今日…牧野と一緒にいた男知ってるか?」
「同じ部署のやつだろ?それが?」
「木嶋じゃねぇぞ?新人の方。なんか…ヤバい感じがすんだよな」

それは、何となくだが類も思っていた。
類がつくしの仕事場に行った際、類とつくしを睨むように見ていた男で、先程も同様の目をしていた。
勘の鋭い司の忠告は無視できない。

「調べてみる」
「おいおい…またかよ…。牧野も色んなことに巻き込まれ過ぎだろ」

あきらが、驚いたように司と類を交互に見た。

「SPにちゃんと見張らせておけよ?同僚じゃ常に一緒にいるようなもんだろ?」

総二郎も揶揄いはするが、つくしのことを大事に思っているのは一緒だ。
何かあれば力になると、類に言った。

話し終わったタイミングで、シャワールームからつくしがパタパタと顔を扇ぎながら出てくる。

「あっつい〜」

総二郎とあきらの前を通り過ぎ、類の隣に腰掛ける。
その時、ふわりとつくしの体臭に混じった石鹸の香りが漂ってきた。

「「これは、これで…ヤバいよな」」

珍しくも、プレイボーイ2人がほんのりと頬を赤く染めて呟いた。


***


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恋夢18R

恋夢18R



木嶋たちが店を出ると、つくしは緊張が一気に解れたようにホッと息を吐く。
先程からずっと身体の芯が何度もキュッと収縮するような感覚に襲われていて、少しの刺激であられもない声が出てしまいそうだった。
それは類の手によって昂ぶった身体が、もっともっとと欲しているせいだということは自分でもいい加減分かっている。
しかし、司の前でそれを口に出して言えるはずもなく、ただ欲情に濡れた瞳を類に向けることしか出来ない。

「司…次の店どこ?いつものとこ?」

類がつくしを抱き締め、つくしの顔を隠すように自身の胸に埋めさせた。

いくら司でも、見せられないな。

「ああ、そうすっか…」
「じゃあ、つくし連れて先に行ってる。総二郎たちと後で来て」
「30分でいいか?」
「ああ…よろしく」

類はつくしを抱き上げると、店の外に停まっているリムジンに乗り込む。

「る、い…っ」

堪えきれずにつくしが名を呼ぶと、類は運転手に行き先を告げると間にある仕切りを閉め、つくしに深く口付けた。

「ふっ…んんっ、はぁっ…」
「30分しかないからね。ここで慣らしておこうか…」

類の手がスカートを捲り上げ、ショーツの谷間を指で撫でる。
キスされる前から濡れていたそこは、類の指を待ち侘びていた。

「あっ、あぁぁんっ…我慢っ、出来ない…っ」
「声?聞こえないから、出していいよ?」

ショーツを手早く脱がせると、グチュッグチュッと音を立て激しく指を抜き差しする。
秘部から流れ落ちる愛液が伝い、シートを濡らしていく。

「あっ、あっ、あぁっ、も…ダメっ、はぁっ…っ!」

ビクビクッと身体を震わせ、指だけで簡単に絶頂に達してしまうと、荒く息を吐きシートにもたれかかった。

「もうすぐ着くよ?そしたら俺の…挿れてあげる」
「……っ」

唇に軽いキスを落としながら類が言うと、つくしは震える手で類の肩を掴んだ。
そんなのいらないと言えたらどんなにいいか。
早くと挿れてと叫びたい程、身体の奥深くが類を求めてヒクついていた。



車が止まると、類は車に乗り込んだ時と同じようにつくしを抱きかかえ、店の裏口から中へと入る。

「呼ぶまで来なくていい」

そう言うと、VIPルームと書かれた部屋のドアを開けた。
中は20畳はありそうな広さで、テーブルをぐるりと囲うソファが2代置いてある。
ベッドの代わりにも出来そうなほど大きなソファにつくしを横たえると、類は上から覆いかぶさりつくしの唇を貪った。

「あんな顔されたら…俺も限界」
「類…も、してっ…おねがっ…早く」
「グチョグチョだよ?ココ…。ほら、今挿れてあげるから」

車の中で下着を脱がされた為に、スカートの下には何も履いていなかった。
スカートを捲り上げると、トロトロと蜜を溢す秘部が露わになる。

「スカートが染みになったら、みんなにバレちゃうね…」
「やぁっ…」

類は勃起し硬くなった性器を、秘部にあてがうとヌルヌルと愛液を塗りたくるように腰を進めていった。

「ああぁぁっ!んっ、あっ、気持ちいいっ…」

腰をスライドさせる度に、グチュッグチュッと接合部から淫靡な音が聞こえる。

「…いいよ、ヒクヒクして…っ、締め付けてくる…くっ」
「あっ、あぁぁっ…ん、ココも触ってっ」

つくしは自身の陰毛に隠された突起を指で擦る。

「はっ、く…っ、Hのときはワガママだね…普段もそのくらいでいいのに」

類が腰を激しく突き上げながら、隠された突起をクリクリと摘む。

「あぁぁんっ!はぁっ…も…ダメっ、イク…イクっ…ぁぁん!」
「俺も…イキそ…くっ…う…はぁっ」

頭の中が真っ白にスパークして、つくしの身体が弓なりにしなる。
同時に類はつくしの中へ欲望を吐き出した。

「あっ、ん…類…」

つくしは身体を反転させると、まだ入ったままの類の性器を擦るように腰を緩く動かしていく。

「…っ、まだ…足りなそうだね?」

擦る度に新たな熱を持って、硬くなっていく性器に、つくしは抑えられない本能とも呼べる欲求に従う。

「ふっ、はぁっ…奥がっ…変っなの」
「ほんと…アルコール入るとなんでこんなにHになっちゃうんだろうね…30分じゃ足りなかったかな…」


***


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恋夢17

恋夢17


木嶋はそんな司たちの仲睦まじいとも思えるやり取りを聞いて、なぜ自分たちが誘われたのかという理由に思い立った。

2人っきりじゃ…シャレにならないってことか…。

竹内もそれを知ってか知らずか、ただ黙々と料理を口に運んでいた。

それから10分もしないうちにボーイが料理を運びながら、司に耳打ちをする。

「ほら、来たってよ」
「ええっ!?」

司がつくしに顔を近づけて言うと、内容ももちろんだが、その触れ合いそうな距離にも驚いて、つくしは思わず距離を取った。

「俺が来たら嫌なの?つくし」

後ろからも声を掛けられて肩をビクリと震わせ振り返ると、ボーイと入れ違いに類が入ってくる。
木嶋と竹内は頭を下げるが、段々と居心地が悪くなってきているのは確かだ。

「類っ!仕事は?」
「ちょうど帰るところだったから、それは大丈夫。なんで司と食事してるの?」

類が不機嫌そうな表情を隠そうともせずに言うと、司がフッと笑った。
今の類の気持ちが、昔の自分の気持ちに重なってよく分かるからだ。

「別に、俺らは変わらずに友人だってことだよ。そんな束縛してると逃げられるぞ?」
「友人ね…」

本当はそんな風には思っていないくせにとは言わない。
それをつくしに知られれば、また彼女を苦しめることになると、類も分かっているから。

仕方なくつくしの隣に腰を下ろすと、大きくため息を吐きグラスに注がれたシャンパンを飲み干した。

「類…ごめんね?怒ってる?」

つくしが気まずそうに隣に座る類を仰ぎ見た。

「うん、怒ってる。機嫌とって?」
「機嫌とってって…」

いつもなら怒ってないよと笑って言ってくれるはずで、つくしも慣れでそう聞いただけに、怒ってると言われてどうしていいか分からない。

類の機嫌の取り方を本気で悩み始めたつくしに、類は思わず笑いそうになるが、それでは面白くない。
司と目が合うと、そこはやはり親友、同じことを考えているのか、つくしに分からない程度に司も口角を上げた。

「ああ、そーいや牧野シャンパン飲みたかったんだよな?」

突然話を変える司に、助け舟を出してくれているのかとつくしは司を見るが、ニヤリと笑うその顔に嫌な予感しかしない。

「へっ?飲みたいって言うか…」
「ふうん、じゃあ飲ませてあげるね」

類がシャンパンをつくしのグラスに注ぐと、自身の口に含み、つくしの顎を持ち上げた。

「な、なに…んんっ」

唇を合わせると、アルコール度数の高いシャンパンがつくしの口の中に入ってくる。

「んっ…ん〜っ」

閉じた唇を舌でねじ開けられて、思わずコクコクとそれを飲み干してしまう。
アルコールに弱いつくしの喉がかぁっと熱くなり、飲みきれなかったシャンパンが唇の端から溢れ落ちる。

「美味しい?」

溢れ落ちたシャンパンをすくい取るように、類の舌がつくしの唇の周りを舐める。

「はっ…ぁ」
「もっと飲みたい?」
「いらなっ…ぁんんっ」

つくしの答えなど聞いてはいないというように口付けられ、さらにシャンパンが喉に注ぎ込まれる。
唇を重ねて口腔内を蹂躙されるように舌を吸われ、類の手がテーブルの下からつくしのスカートを捲り上げた。

「ふっ…んんっ〜はっ…」

妖しく太ももを撫でまわす手に、フラリと後ろに倒れそうになるが、類の腕が腰に回っていて、さらに後ろから司が支える。

つくしは目に涙を浮かべて類を睨むが、艶を含んだ表情に類が誘われることはあっても、反省の色はない。

「もっ…やだ…ぁ」
「ごめん。ちょっとやり過ぎたね…」

しかし、つくしが本気で肩を震わせて泣きそうになると、ピタリと手を止める。

目の前でラブシーンを見せられて、木嶋は顔を赤くするが、つくしの妖艶な姿から目を離すことが出来ない。
竹内も食事の手を止めて、つくしに魅入られていた。

類に何度も吸われて赤く膨らんだ唇や、アルコールのせいかピンク色に染まった頬、潤んだ瞳が妖しく揺らめく。
誰も言葉を発しない中で、つくしの荒い息だけが室内に響いていた。

「もっとしたい?」

類がつくしの耳元で囁くと、アルコールのせいだけではない身体の火照りが増す。

「したく…ないっ…」
「ウソつき…」

耳朶を軽く甘噛みされると、ビクッとつくしの身体が震える。


プルルルル…

その時、司の胸ポケットに入れてあった携帯が着信を告げる。
司は着信の相手の名前を確認すると、木嶋達に失礼とだけ言うと、その場で電話に出た。

「ああ…そう…帰ってきた。あっ?今?類と牧野といる…これからか?分かった、言っとく」
「あいつら?」

類が聞くと、司は頷きつくしに言った。

「総二郎とあきらが今からここに来るって。来たら店移動すっか?」

この先木嶋と竹内と行動を共にしないと、暗に言っているのだ。
木嶋がいち早く察し、会計を済ませようとするが、司に断られてしまう。

「誘ったのは私ですから…お気になさらず…」
「いや、しかし…私たちの分まで出して頂くわけには…」

木嶋が取引先相手に支払ってもらうわけにはいかず、なおも食い下がろうとすると、司が声を落として言った。

「あんた…気が付いただろ?俺はあいつと食事したかっただけだ…これは詫びのつもりだから」
「…分かりました。今日はありがとうございます」

司はビジネスでもそうだが、この木嶋という男を割りと気に入っていた。
別に友人にしたいなどとは思わないが、秘書並みに気がきき、空気を読むことに長けている。
仕事を通してだが、何度も会えばつくしに気があることくらいすぐに分かった。

ほんと、こういう男によくモテるんだよな…。

しかし、本人が分不相応であると理解している。
そんな恋愛の仕方はどうかと理解することは出来ないが、つくしにとって害のない相手であることは確かだ。

木嶋と竹内は司に礼を言うと、類にも会釈をし店を出た。
類は店に現れてから、自分たちが帰るまでただの1度も木嶋のことを見なかった。
もしかしたら、本当にいることに気が付いていないのかもしれない。

ドアの外に出ると、入れ違いに明らかに周りとは異なる雰囲気の男たちが、ちょうど店へと入っていくところだった。

言われなくても分かるーーー。
彼らが、つくしが言っていた…F4だ。

竹内とも店の前で別れると、1人駅までの道を歩きながら考えた。
今まで木嶋はつくしに対して、バレバレのモーションをかけていたつもりはなかったが、竹内の誘い方は誰が見てもあからさまだった。
しかし、つくしは竹内の気持ちに全く気が付いていない。

それはそうだろう…。
高校の頃からあれほどの美形集団のF4の側で守られ、結婚してもそれは続き、旦那からもあれだけ愛情を伝えられていれば、他の男が寄ってくる隙すらなかっただろう。
言い方は悪いが竹内程度の男に誘われたとて、つくしが全く気が付かないのも分かる気がした。

つまり、相手にならない…ということだ。

土俵に上がることすら出来ない恋愛は、さっさと負けを認めて去るのが利口だと木嶋は思うが、最近の竹内を見ていると愛情の裏返しなのか、つくしに対して嫌悪感すら抱いている発言が多い。

本能で分かるーーー。
あの人たちを怒らせるなよ…。


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恋夢16

恋夢16


日が落ち薄暗くなってきた景色を見ながら、道明寺家のリムジンで移動すると、車は見覚えのある場所に辿り着いた。

「ここって…」
「そう。覚えてるか?つうか、女に奢られたままってのは、俺の気がすまないからな。またおまえと来たかったんだよ」

連れて行かれたのは高等部時代に2人で行ったレストラン。
司の母、楓にカードを止められ、つくしが現金で支払ったイタリアンレストランだった。

司としては、類と幸せに暮らしているつくしとの関係に波風を立てるつもりなど毛頭なかったが、関係は変わってもつくしのことを大事に思っていることに変わりはない。
今でも友人だと、つくしにそう思って欲しかった。
友人以上の気持ちを持っていることを気付かれたとしても、つくしが類を裏切るような女ではないことはよく分かっている。
知られて困らせるつもりもないが。

2人きりでは絶対に誘いに乗らないと分かりきっているつくしの為に、誘いたくもない相手を笑顔で誘うことが出来るぐらいには、つくしと離れてからの年月は司を大人にしてくれた。

「懐かしいな…」

「来たことあるのか?」

ボソリと呟いたつくしに木嶋が聞くと、つくしは少し寂しそうな顔で笑った。

「庶民って言う割にはいい店で飯食ってんだ?」

またもやつくしに絡み出す竹内に、木嶋は取引先がいる前での発言には相応しくないと珍しく厳しい目で睨んだ。
しかも、今後はつくしと竹内が2人で担当していく大事な取引先だ。
竹内にとっても相手に悪い印象を与えることは得策ではないだろう。
幸い、竹内の言葉を聞かなかったことにしてくれている司に感謝するしかない。

店内に入ると、支配人が最敬礼をし司が一言二言話すと、すぐに奥まった個室へと案内された。

以前に司と来店した時はテラスで食事をしていた為、店内の様子はよく分からなかったが、店の中は格式高く一見様お断りの雰囲気すらある。

前に連れてきてもらった時は、そういう店を苦手とするつくしを気遣ってくれたのだろうか。
今は聞くことすら叶わぬ思い出に、司の優しさを感じて笑みが溢れた。

広い室内の、8人は座れそうなテーブルに着くと、司がつくしをエスコートし自分の隣に座らせる。
奥側の上座に司を、手前側に自分たち3人が座るつもりでいた木嶋は驚くが、そういえば友人だったなと司たちの前に腰を下ろした。

「何か苦手なものはありますか?なければ適当に持って来させますが」
「ええ、お恥ずかしい話ですがこういったお店にはなかなか来る機会もないもので、申し訳ありませんがお任せしてもよろしいですか?」

恥ずかしいと言いながらも、堂々とそれを司に言える木嶋は、やはりかっこいいとつくしは思った。

「あの…道明寺社長…」

つくしが呼び方を思案し、結局木嶋たちの前だからとそう呼ぶと、司は眉を寄せて嫌な顔をする。

「あ?おまえから、そう言われるの鳥肌が立つから止めろ…」
「やっぱり?良かったぁ〜あたしも気持ちわるっと思ってたんだ〜」
「気持ちわるって…で、何だよ…」
「電話してきてもいい?ちょっと…」

そう言いながら席を外そうとするつくしの腕を司が掴む。

「ここ、個室。別に電話ぐらいかけろよ。どうせ類だろ?」
「あ、うん。そうなんだけど」
「携帯貸せ…俺から掛けてやるよ」
「えええっ、ダメっ、絶対にダメ」

慌てたように携帯を後ろ手に隠すつくしに、司はニヤリと笑い携帯を奪い取った。

「おまえ…リーチの差分かってるか?」
「ダメだってばっ!類の番号知ってるでしょ!?あんたが自分の携帯で掛けなさいよっ!」
「別にいいぜ…けど、あいつ出ねえよ?絶対な、賭けてもいい」

言いながら司は自分の携帯を操作すると、つくしに聞こえるように耳に近づけた。
何コール鳴ったであろうか。
全く応答のない相手に、もういいか?と司が携帯をしまう。

「な?言っただろ。次はおまえの携帯な。類に掛けてみろよ」

つくしは仕事が忙しくて電話に出られないだけだろうと、不思議に思いながら類に電話を掛ける。

『はい、つくし?どうかした?』

1コールで出た類に、司は分かりやすっと笑いを堪えている。

「えっ、出た…類?今…大丈夫?」
『うん、大丈夫だよ?どうしたの?』
「あ、あのね…って、ちょっと!」

つくしが話そうとすると、司が携帯を奪い取り勝手に電話に出る。

「よぉ、類。久しぶりだな…」
『司…?今、つくしと一緒にいるの?』
「ああ、ちょっと帰すの遅くなるから」

″帰す″が″返す″に聞こえ、類が電話の向こうで苛立つのが司にも伝わった。
荒々しくブチっと電話が切られる。

「電話切れた。類がどれくらいでここに来るか、賭けるか?」
「えっ、仕事中だったんじゃないの!?来ないでしょ?」
「来るに決まってんだろ?おまえより類の性格は知ってんだよ」

ちょうどそこに、食前酒のシャンパンが運ばれてくる。

「お待たせしてすみません。飲みましょうか」

完全に2人の世界に入っていると思いきや、木嶋たちに向き直ると司がグラスを手に持ち乾杯のつもりか軽く傾ける。
そして、木嶋たちもそれに倣った。

「なんであたしだけオレンジジュースなのよ…」
「飲みたければ類が来てからにしろよ。たぶんあいつすげー不機嫌だから、おまえが酔っ払ってたら益々苛められるぞ?」

楽しそうに物凄く怖いことを言われている気がする。


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恋夢15

恋夢15



数日後ーーーー。
ウェディングプランの打ち合わせにDMJに向かう車中、自然と話は類のことになり、つくしも木嶋と竹内になら話しても良いかと、花沢本社の仕事の話ではなかった為に、話せる範囲で質問に答えた。

「あ、じゃあ、花沢が道明寺社長と知り合いなのって、常務と道明寺社長が友達だったからなのか…」
「はい、なんかあの人たちF4とか呼ばれてて、英徳の中で凄い人気でしたよ?」
「そりゃそうだろ…あれだけの美形だしな…。4ってことは、あと2人いるのか?」
「そうです…。あたしみたいな庶民は、お近付きになれないような人たちですね」

木嶋が、おまえだってセレブだろうがと揶揄うが、つくしとしては自分がお金持ちになったという自覚はまるでない為、そう言われることに違和感がある。

「やっぱり、花沢さんが玉の輿狙ってたんじゃないの?だから、近づいたんでしょ?そのF4とかに」

ここ何日かめっきり口数の少なくなった竹内が、つくしに対して嫌味とも取れる言い方をした。

「こら、竹内!花沢が結婚してて悔しい気持ちも分かるけど、そういう言い方はよくないだろ?」

つくしとしては、高等部の頃から言われ慣れている言葉であるが、それを同期という近しい人間から言われるのは少し辛い。

「いいんです。今までもよく言われてきたんで、慣れてます」

つくしの言葉に、ただ金のある幸せな暮らしをしているわけではないと、セレブ故の苦労を感じ取った木嶋は、同情のこもった目でつくしを見つめた。
竹内は気まずそうに目をそらすと、それきり何も話さなかった。





「…で、今後は新規参入してくれるレストランを増やしていく方針です。メープルでの二次会プランの客足はどうですか?」
「ええ、若いカップルには二次会プランを使っての披露宴も人気があるようで、続々と契約は取れています。見通しは明るいですね」

司は木嶋と打ち合わせを終え、そろそろと腰を上げると、ギュルギュルギュル…と場違いな音が室内に鳴り響いた。

「くっ…おま…そういうとこ変わらな過ぎだろっ…」

司は久しぶりに聞いたつくしの腹の音に、肩を震わせて笑う。

「しょっ、しょうがないじゃない!一応打ち合わせ終わるまでは我慢してたと思ってよ!」

つくしも真っ赤になって反論するが、確かに22歳にもなって恥ずかしいと、穴があったら入りたい気分になった。

「飯食いに行くか?」
「えっ?」

司の誘いに驚いて、つくしは俯いていた顔を上げると、司は木嶋と竹内にも話を振った。

「木嶋さんたちもどうです?」

司が仕事関係の人間を自分から食事に誘うことなど、今まであっただろうか。
もちろん司の仕事のことなど、つくしには分からないことばかりだが、少なくとも気を許した人間以外を自分から食事に誘うというイメージが全くない。

大人になったってことかな…。

つくしは、自分の知らない道明寺司を見ているようで一抹の寂しさを感じる。

「ああ、そうですね。私はもう花沢と竹内に引き継いでしまったら、お会いすることも少なくなりますし、是非ご一緒させて頂いても構いませんか?竹内もいいよな?」
「はい、是非」

木嶋は喜んで司の誘いを受けた。
それは司が社交辞令で誘っているようには、とても思えなかったからだ。

「ってことで、おまえもな」
「あ、うん」


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オダワラアキ

Author:オダワラアキ
オダワラアキの二次小説・二次創作置き場へようこそ。
ひるなかの流星・花より男子・日々蝶々・君に届け・会長はメイド様の二次小説・創作置き場です。黒バス黄黒、青黒BLも書いております。
現在はオリジナルばっかりになってしまったなぁ。

こちらを読むにあたって下記注意点をお読みになってからお進みください。

このサイトは原作のある漫画の二次創作、小説です。

同人誌や、二次小説(2次創作・夢小説)に抵抗のある方はウィンドウを閉じてください。
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