現在の閲覧者数:
FC2ブログ

秋の空は恋の色 最終話

秋の空は恋の色 最終話
R…まではいかないけれどご注意を。




類はつくしにカーディガンを着せると、一番上のボタンを留めた。

「あら、もったいない…花沢さん、その格好でデートしてらっしゃいよ!きっと常務が羨ましいっていう男がたくさんいるわよ?ここにもいるし」
「島崎さんっ!!」

いい加減にしてくれとでも言うように木嶋が叫ぶ。
つくしは何のことか分からずに首を傾げた。

「俺もデートしたいな。行こうか?」
「うん。島崎さんありがとうございます!ちょっとブラブラしてきます」





ショッピングモールから駐車場へ抜ける間に、買い物客が休憩出来るようにベンチや椅子が置かれた広場がある。
そこでは、ベンチに座りテイクアウトしたハンバーガーを食べているカップルもいた。
子どもを遊ばせるための遊具もいくつかあり、類とつくしも遊具で遊ぶ子どもたちを見ながら、ベンチに腰掛けた。

「あっ!ホットドッグ売ってるよ!あれ食べよう?類お腹空いたでしょ?」

つくしが指さした先には、ホットドッグの屋台やクレープ屋が並んでいる。

「あたし買ってくるね!類はここで待ってて!」

そう言うなり駆け出して行ってしまう。
目配せで堀田を見ると、すでにつくしの後を追い掛けていた。

つくしは、庶民的な料理を類に食べさせたくて仕方がないらしい。
類が今までなら絶対に口になどしなかったであろう屋台の料理も、今ではそれなりに美味しく感じるようになってしまった。

″花沢の料理人が作ったフルコースが余計に美味しくなるよ″とつくしに言われたが、最近本当にそう思うのだから、つくしの影響力は凄まじい。

短いスカートをはためかせながら、屋台へ走っていく後ろ姿を、類は心配そうに見つめた。



「おじさーん、ホットドッグ2つください!あ、あとアイスティーも」
「はいよ〜」

1分も経たないうちに、ホットドッグが手渡され、つくしはお金を払い店主へ礼を言った。

「君1人?結構可愛いじゃん。ホットドッグより美味しい飯奢るから、一緒に行かない?」

いつからそこにいたのかは分からないが、軽薄そうな男がつくしに声をかけた。
ホットドッグを2つ買っているのだから、連れがいるとは思わないのだろうか。

「いえ、結構です…。連れがいるので」

当たり前だがつくしが断ると、男はプライドが傷付きでもしたのか、尚のこと食いさがる。

「俺、結構金持ちだよ?一緒に来て損はないと思うけど?」

離れたところでつくしの警護に付いていた堀田は、つくしの元へ駆け寄ろうとすると、そこへちょうど知った影がつくしに近づいて行くのが見えた。

堀田は下手なナンパよりマズイと、大急ぎでつくしの前へ立った。

「彼女は僕の連れだけど、何か?」
「彼女は私の連れですけど、何か?」

声を揃えてつくしを守るように立つ、男2人に圧倒されたように、男性は訝しげな視線を向けると、何も言わずに立ち去った。
うち1人は恰幅のいい堀田であるからかもしれないが。

「堤さん…」

つくしが驚いたように呟くと、堤は口の端を上げ微笑んだ。

「つくしさん、どういうわけか僕たちは出会ってしまうようですね」
「へっ、あ、はあ…」

確かにこう何度もばったり会っていると運命か陰謀かと探りたくもなる。
しかし、そもそも同じ旅館に泊まっていて、観光場所といえば滝が見える橋か、ここかしかないのだから偶然以外ないだろう。

「一瞬誰かと思いましたよ。清楚な装いもお似合いですが、年相応のそういった格好も似合いますね」
「えっ、そうですか?ちょっと恥ずかしいんですけど…」
「今度、是非服をプレゼントさせてください。邸にお届けしますよ」

ただのSPである堀田が、堤との会話に口を挟めないでハラハラしていると、類がつくしの身体を引き寄せた。

「堤専務、それには及びません。服なら俺が買いますから」

仕事関係者に″俺″という表現方法を取ったところに、取り繕うことの出来ない類の嫉妬心が表れていた。

「堤さん、教えて頂いた紅葉見に行きました。とっても綺麗でしたよ」
「そうですか。それは良かった」

つくしが、服云々の会話をまるで聞こえていないようにスルーすると、堤もそれ以上は何も言わなかった。
けれど、つくしと堤の会話を聞いて面白くないのは類である。

「では堤専務。私たちはこれで」

類がつくしの肩を強く引き寄せると、軽く頭を下げて背を向け歩き出す。
それは先ほどまで座っていたベンチではなかった。

「え、類?どこ行くの?食べないの?」
「うん、それは旅館で食べるよ」
「いいけど…美味しくなくなっちゃうよ?」

すれ違う男がつくしをしばらく見つめては、名残惜しそうに必ず振り返る。
こんなにハラハラさせられていることを、彼女は気が付いているのか。

急いたように駐車場へ行くと、類が助手席側のドアを開けつくしがありがとうと乗り込んだ。
類も車へと乗り込み、助手席側のシートを後ろへと倒した。
どうしたのと聞く間もなく、類が覆いかぶさるように口付けた。

「んんっ…ん…」

類の手が性急な動作で、服の上から両胸の膨らみを揉みしだく。

「あっ、はぁっ…ん、ダ、メ…」
「他の男にこんな格好見せないでよ…」

つくしの首筋に噛み付くように強く吸い付くと、赤い花びらのような痕を残す。

「……っ」

類の舌が鎖骨から大きく開いた胸元へと動き、直に胸の突起を刺激する。
それと同時にスカートの中から下着を膝辺りまで下ろし、片足を大きく開かせた。
駐車場の中でも、人通りの少ない奥に車を停めていた為に他人に見られることはないが、もしかしたら見られるかもしれないという羞恥心がつくしを追い立てた。

「あぁぁんっ…はぁっ…」
「もう濡れてるよ、ほら」

指でつくしの秘部を撫でると、愛液をすくい取るように濡らした手をつくしの前に翳した。

「やっ、恥ずかしい…」
「舐めて」

つくしの口を開けさせ、指をねじ入れる。
イヤイヤと首を振るが、胸の突起をクチュッと舐められると身体が跳ね、快感に抗えない素直な身体が類を指を受け入れる。

「んっ、ふぁっ…ん、ん…」

類の性器を舐めているように、欲情に濡れた瞳で指を必死に舐めていく。
つくしの唾液でヌルヌルと光った指を口から抜くと、類は胸の突起へしゃぶりつきながら秘部へと突き刺した。

「あぁぁんっ!はぅ…ん、んっ」

激しく抜き差しされる指が、グチュッグチュッと水音を車内に響かせシートを濡らす。

「ダメっ…あぁっ!……っ!!」

足がピンと張りビクビクっと太ももを震わせると、絶頂に達し荒く息を吐いた。
類は、つくしに優しく口付けると、膝まで下ろしたショーツを上げシートベルトをカチャリとはめる。

「る…い…っ」
「ここじゃ無理でしょ?旅館戻ったらね…いっぱいしてあげる」





堀田は他のSPと共に車に乗り込み、類の乗った車をジッと見つめるが、15分経っても車は動こうとしない。
しかし車の中の様子が想像できるだけに、見に行くこともできずに待つしかなかった。

「つくし様…モテるからな…。しかも鈍いし。類様も大変だよな…」
「大変なのはつくし様だろ?類様にしょっちゅう嫉妬されては、そこら中で襲われてるし」
「やっぱり、襲われてると思うか…?」
「それしかないだろ?じゃあおまえ、見て来いよ」

顔を赤らめて話すSP3人の中で、誰が行くかジャンケンでもしそうな勢いだった。

「万が一つくし様の裸でも見ようもんなら、明日から仕事なくなるぞ…止めておけよ?」

堀田が類とつくしの噂話を咎めるように忠告すると、だよなぁと若干残念そうに聞こえるのは気のせいか。
SPたちの間でも、分け隔てなく接するつくしは好感を持たれている。
しかしそれが恋愛感情に変われば、あっという間に仕事を失うことを全員が分かっていた。

そんなSPたちの楽しみは、類と幸せそうに笑いあうつくしを見ていること、それに尽きる。





車を発進させた類が、つくしにチラッと視線を向ける。

「つくし、今の職場楽しい?」
「何…いきなり?」

その問いはつくしも予想していなかったもので、どうかしたのかと類を見た。

「いや、俺は仕事が楽しいとか思ったことないから…」
「類は楽しいだけじゃ出来ない仕事をしてるから仕方ないでしょ?」
「つくしは、同僚と一緒にいる時…楽しそうにしてるよね」
「だっていい人ばっかりなんだもん…それにね…」

恥ずかしそうに窓の外を見ると、モゴモゴと言葉を濁す。

「なに?」
「……あたしが笑ってると、類が嬉しそうにしてくれるから」

頬を赤らめて言うつくしに、今すぐ押し倒したい衝動に駆られる。
運転することで、何とか気を散らせていたのに。

どうして、素でそんなに可愛いかな…。

ハラハラさせられてばかりで、家に閉じ込めてしまいたいと何度思ったか分からない。
けれど、嫉妬することが分かりきっていてもなお、約束の1年という期限が近づくにつれため息の増えた彼女を、何とかしてやりたいと思う自分は、かなりイカれてるのかもしれない。

ああ、そうか。
目の届くところに…。
本社に移しちゃえばいいのか。

黙ったままハンドルを握る類に、つくしは首を傾げた。

「何、考えてるの?」
「ん…?つくしのことしか考えてないよ」

そう言うと、真っ赤になって俯くけれど、嬉しそうに俺を見る。
秋の空のような澄みわたる笑顔を向けて。

今日もまた、俺の頭の中は、彼女のことで支配されている。



fin


皆さまからの拍手、コメントとても励みになります!
ありがとうございます!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキングに参加しています!ポチッとお願いします(^-^)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

秋の空は恋の色 13

秋の空は恋の色 13


旅館近くの静けさとは裏腹に、ショッピングモールは大勢の人で溢れかえっていた。
ちょうど紅葉の時期であることも、人々が足を運ぶ理由である。

「何か欲しいものある?…って言ってもあるとは言わないよね」

つくしの性格をよく理解した類が呟く。

「うーん…あ、山村さんと佐原さんたちにお土産買おうよ!」
「つくしの買いたいものって、お土産しか聞いたことない…」
「だって…欲しがる暇がないくらい類が買ってくれるじゃない…」

実際につくしのクローゼットには、一ヶ月に一度は総入れ替えされてるのではないかと思うほど、真新しい服やバッグが揃っていた。
類がたとえ仕事でも、土日になると邸にデパートの外商担当がやってくるのである。
宝石や洋服などが、デパートさながら邸に並ぶ。
初めてその光景を見た時は、値札も付いていない高級ブランドに囲まれあまりに恐ろしくなった。
つくしがいりませんと言うと、担当者たちが顔面蒼白な状態で帰って行き、後日その上司と共に菓子折りを持って現れ驚愕したものだ。
担当者が何か失礼なことをしたせいで、買わなかったと思われたらしい。

「余りある資産を持っている者は、それを使うことも仕事なんだよ」

類にそう言われてからは、邸にいる佐原たちに見立ててもらうことにしているが、着なくなった服たちは一体どこへ行くのだろうと気にしているあたりが、貧乏性だ。



殆どの社員が紅葉を見た後にこのショッピングモールへと買い物に来るため、ゾロゾロとツアー客のように類たちの後に続く。
一般の客は何事かと、目を向けるがその中心にいる類の端正な顔立ちに言葉を失う。
その視線は一流芸能人を見たときのようなものから、セレブの買い物見たさというものまで様々だ。

「花沢さーん!一緒に洋服見ないっ!?」

お土産を買い終わったつくしは、島崎とモール内でバッタリ会った。

「何、全然買い物してないじゃないっ!?今、そこの店でタイムセールやってるのよ!行きましょ!」
「えっ!?タイムセール!?行きたい!」

セレブの割に、セレブ感のまるでない発言。
こういうところが、みんなに好かれる要因なのだろう。
外商の他に類がつくしに勝手に買っている、衣類やバッグの値段をいつも恐々と聞いては、言おうとするとそれを止める。
聞いたら着れなくなると。
それを身に着けることで、類が喜ぶことを知っているから。

「類、行ってもいい?」

その言葉は、″買って″を意味している。
強請ることを苦手とするつくしからは、滅多に聞ける言葉ではない。
ベッドの中のお強請りの方が、よほど素直なぐらいなのだから。

「うん、もちろん。行こうか」

つくしが欲しいというものならば、金に糸目はつけない。
そんなことぐらいで嬉しそうに笑ってくれるのならば。
しかし、それをすると少し困ったような顔でありがとうと笑う。

つくしの我儘は、類にとっては喜びでしかないことを教えたら、もっと甘えてくれるのであろうか。

「私が選んであげる!花沢さんいつもシンプルな服が多いから、ちょっと大人めの色気のある服がいいんじゃない?…常務も喜ぶわよ…」
「ええ〜っ!?」

類が喜ぶ色気のある服とは、どういうものかとつくしは想像するが、いつも買ってきているシンプルな服が好みなのではないだろうか。

今さら自分にセクシーさを求めてはいない気がする…それも少し悲しくなるが。

「これどう?可愛いじゃない!まだ若いんだから、これぐらい着なさいよ〜」

島崎が手に取ったのは、胸の下で切り替えしのある首元がV字に大きく開いたシフォンワンピースだった。
ピンクと黒の2種類あるが、どちらも黒のレースがあしらわれていて、髪の色の派手な女の子に良く似合いそうなワンピースだ。

「可愛いけど…こういうの着たことないです…。あたし胸ないからなぁ」
「だからハイウェストなんじゃない!しかも、花沢さんそんな胸小さくないわよ?痩せてるけどCはあるでしょ?」
「ありますけど…よく分かりますね」
「そりゃあいい大人ですもの。こっちの黒のレース着てみなさいよ。はい試着室」
「今着るんですかっ!?」

いくらなんでもこれは着られないだろうと、さりげなく返そうとしていた矢先、島崎によってそれは許されずに試着室へと連れて行かれた。

渋々試着室でワンピースに袖を通すが、秋に着るには素材も薄く室内ではちょうどいいが、外に出るには肌寒いだろう。

「似合う〜!思ってたよりずっといいわね!花沢さんセクシー系もいけるかもよ?」

つくしが試着室のカーテンを開けると、待っていた島崎が驚いたように声を上げた。
そして辺りを見渡すが何故かその場に類はいない。
トイレにでも行ったのかと、島崎に問い掛けようとするが、その時ちょうど類が歩いてくるところだった。

「類…これどう?初めて着たよ…こういうの。ちょっと恥ずかしいね…」

自身の姿を改めて鏡で見ると、ハンガーに掛かっていた時よりかなりスカート丈が短く見える。
胸元も谷間がギリギリ見えない程度だが、それは鏡ではの話で、男性の目線からは胸元の谷間がはっきりと見えるであろう。

「似合わない…」

類がどんな気持ちで言った台詞かは明白で、島崎はニヤリと笑いそうになる口元を手で隠した。

「やっぱり、そうだよね…」

しかし、額面通りに受け取ったつくしが傷付いた顔をする。
恥ずかしそうに頬を染めて試着室に戻るつくしの腕を、類が慌てたように掴んだ。

「嘘、ごめん。似合ってる…可愛いよ」
「じゃあ、これ着て行きましょ!はい、それでこれもね!」

類が会計を済ませると、島崎は自信のバックからバナナクリップを手に取り、つくしの髪の毛を顔の横でクルクルと巻きながら纏めると、クリップで留めた。

「ほらっ!可愛いっ!あ、木嶋くん!見てみて〜」

島崎の荷物持ちと化していた木嶋が、面倒そうに店内へと入ってくる。

「何ですか……って、誰かと思った。変わるもんだな」
「あらあら、木嶋くん…顔が赤いんじゃない?ふふっ」

島崎から見たら木嶋とてまだ若僧だ。
決して実ることはない木嶋の恋心が、手に取るように分かる。

「はあっ?別に…」

木嶋はジロリと島崎を睨むが、言われたことが図星だったのかその視線は弱々しい。
短いスカートからスラリと伸びた細い足が、太ももの辺りまで見えている。
それに胸元が誘うように開いて、目をそらさずにはいられない。

「つくし、これ着てて。肌出しすぎ」

類は木嶋の視線から隠すように、つくしが試着室で着替えている間に買っておいたカーディガンを肩に掛けた。

「ありがと…でもモールの中は暖かいよ?」
「俺にここで襲われたくなかったら着てて」
「おそ…っ、わ、分かった…」


類のSP数名と共に、つくしの後を付けていた堀田は、朝の出来事にはハラハラさせられたが、もうこれ以上は何も起こらないことを願うばかりだった。


***


皆さまからの拍手、コメントとても励みになります!
ありがとうございます!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキングに参加しています!ポチッとお願いします(^-^)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

秋の空は恋の色 12

秋の空は恋の色 12


類の手を引っ張り、逃げるように店を出ると、外に停めてあった車に乗り込んだ。

「もうっ、今日は観光する予定なんだから…」

散々揶揄われ恥ずかしさはあるものの、結局つくしは類に何をされたとしても許してしまうのだ。
それは、元々花沢類という男への絶対的な信頼感から来ているのかもしれない。
本当につくしが嫌がることはしないと信じているから。

「どこに行きたいの?」

類は運転席に乗り込むと、シートベルトを締めながらつくしに聞いた。

「類、朝ご飯食べてないでしょ?お腹空いてない?旅館戻って軽く何か食べてから出掛けようよ」
「いいよ?昼に食べるから。近くにショッピングモールあるよ。女の人がセールがどうのって言ってた。つくし好きでしょ?行ってみる?」
「ショッピングモールもいいけど…綺麗な紅葉スポットがあるんだって」
「ああ、滝があるとこかな。じゃあ、そっち寄ってから買い物行こう」

類はそう言うなり車を走らせた。
殆ど自分で運転することがないはずなのに、どうしてカーナビの付いていない車で迷うことなく目的地へ行くことが出来るのだろう。

そもそも、何かで苦労しているところなど見たことはないかもしれない。
免許取り立てのあの酷い運転すら、類本人は楽しそうにしていた。

この外見とステータスでモテないわけはない。
そんなことはとっくに分かっているが、つくしが、未だに運転する類の横顔にすらドキドキしてしまうことを、知っているのだろうか。
結婚して4年経っても尚、知り合った頃のように胸が高鳴ることを。



「ああ〜っ!花沢常務!」

車から降りると、ちょうど観光に来ていた社員たちと鉢合わせた。
その中には、木嶋と島崎の姿もある。

「よかったな…常務来てくれたのか」

木嶋が類に頭を下げると、つくしに言葉をかけた。

「あ、はいっ!木嶋さんたちも観光ですか?」
「ああ、紅葉見にな。今ちょうど見頃らしいぞ?そのあと、お約束のショッピングモールだけどな」
「あたしたちも紅葉見に来たんです!」
「つくし、行くよ?」
「うん!じゃあまたあとで」

つくしが木嶋たちに会釈をし背を向けると、類がつくしの手を取りながら歩き難い道を行く。
いくら夫婦とはいえ、社員旅行で手を繋ぎ歩く夫婦がどれだけいるのだろうか。
まだ年若い上役の妻とのラブラブっぷりを見せつけられて、独身者たちはため息を漏らした。

「うわぁ〜滝大きいね!気持ちいい〜!紅葉も綺麗…」
「満天楼の庭園も綺麗だけど、やっぱりこういう自然の景色には敵わないよね」
「うん…」

150メートルほどの高さの滝を囲むように、モミジやシナノキが色鮮やかに紅葉している。
つくしは橋の上から眺める絶景を目に焼き付けるように、暫くの間言葉を失くした。

「類もたまにはゆっくりしてね?旅行中くらいはさ…」
「そうだね。たまにはこういうのもいいね…。忘れてたよ、高等部の頃はあんなにぼうっとしてたのにさ」
「いつも寝てたもんね…ふふっ、あの頃の類に教えてあげたい」

滝壺に流れる水飛沫がつくしたちのいる場所まで飛んでくるせいか、少し肌寒く感じてつくしは小さくクシャミをした。

「寒い?車に戻ろうか…」
「う、ん…でも、もう少しだけ…」

類の手が後ろから伸びてきて、小さなつくしの身体を包み込むように抱き締めた。
もちろんそこには、何名もの同僚たちがいる。
抱き締められた瞬間、キャーという黄色い悲鳴があちこちから上がった。
周りの声など耳に入っていないのか、冷たくなったつくしの頬に触れる。

「冷たい…。ショール持って来れば良かったね」
「充分…暖かいよ?」

前に回る類の腕に、頭をコテッと乗せると、類もつくしの髪の毛に顔を埋めた。

「目立ってる…気がする…」
「ん?気のせいじゃない?」

観光客は紅葉に目がいっているのかと思いきや、殆どの視線が自分と類に注がれている。

「やっぱり、車戻る…」
「そうだね。ショッピングモールで買い物ついでに食事しようか」
「うん」

***


皆さまからの拍手、コメントとても励みになります!
ありがとうございます!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキングに参加しています!ポチッとお願いします(^-^)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

秋の空は恋の色 11

秋の空は恋の色 11


「類っ…何でこんなこと!?」

やっとの事で息を整え、目に涙を浮かべたつくしが類に食ってかかる。
類はシレッとそれを無視すると、つくしのギュッと強く握られた左手を指でチョンと触れた。

「つくし、手見せて?」

そういえば、堤に手を握られた時、何かを手の平に入れられたことを思い返した。
つくしが、左手を開くと小さな紙が折りたたんで握らされている。

「なに、これ?」
「見せて」

つくしが紙を開く前に、類の手が横から伸びてくる。
そして折りたたんだ紙を開くと、目の前のグラスの中にポチャンと沈めた。

「何だったの?」
「つくしは、ほんとああいう男に好かれるよね…」

ため息混じりに呟く類の硬い表情は、機嫌があまり良くはないことを物語っている。

「好かれるって…。堤さんに?そんなわけないでしょ?ね…それより、大丈夫なの!?」

そういえばと、先ほどまでの情事すら忘れ、類へと視線を向けた。
つくしからすれば、類のいつもの嫉妬心よりも、堤に聞いた話の方がよほど衝撃的だったからだ。
脅迫状まで送られているのだ。
手紙だけで済めばよいが相手がエスカレートすることだって考えられる。

「大丈夫だよ。つくしには絶対危険なことはない」
「違うよっ、あたしじゃなくて…類は!?」

つくしを心配させないように類は大丈夫だと微笑むが、今日に限ってはそれに騙されることはない。
つくしは泣きそうな顔で類の腕を掴んだ。

「俺にもSP付いてるじゃない?大丈夫。心配しないで」
「類に何かあったら…やだよ、あたし…」

司が刺された時のことを未だに夢に見ることがある。
大事な人を失ってしまうかもしれないという恐怖。
待つことしか出来ない、他人の手に委ねられた運命。

今度は…それが類だったら?
自分がそれに耐えられるとは思えない。

「俺は、絶対につくしの前からいなくなったりしないから。それに、俺たちが狙われることはないはずだよ?」

隣に座るつくしの肩を抱き寄せると、安心させるように優しく頭を撫でた。

「そ、うなの?どうして?」
「医友会が脅迫した相手だとして、花沢を脅したところで意味がないから。堤産業が他の企業と契約すればいいだけでしょ?」

つくしは、類の言うことを頭の中で反芻する。
確かに、独占で契約したいのであれば、攻めるべきは花沢ではない、堤産業だ。
そして、月曜日に花沢と契約を結ぶ手筈なのだから、諦めきれずに最後の悪あがきをしている…そんなところだろうと類は言う。

「じゃあ、何でわざわざ堤さんは教えてくれたんだろう…」

つくしが不思議そうに首を傾げると、類が口を尖らせる。

「それは、誰かさんが無駄に愛想振りまくからじゃない?ほんと、どうしてああいう相手を引き寄せるかな?俺に話してる間中つくしのこと見てるし、よく我慢したよね俺…」
「そんなわけないじゃない…」

確かに食べてるところをやたら見られているなとは感じた。
しかしそれは、仕事の話だから気を使ってくれていると…それぐらいにしか思っていなかった。

「ちょっとは自覚してよ…自分がモテること。それで俺がどれだけ心配して嫉妬してるか」

類の額が、コツンとつくしの肩に乗る。
手の平でつくしの左手を包み込むように握ると、指を一本一本撫でられる。
舌で舐めるように這う指の動きに、ピクリと手が震えた。

「…っ、あたしだって、嫉妬するよ…。類のこと好きになる女の人って綺麗な人ばっかりだし。でも…類がヤキモチ妬いてくれるからあたしは安心してられる」

類の勘違いだと思うけどね、と付け加えるのは忘れない。

「ふうん、じゃあ堂々と嫉妬しようかな?」
「うん。して…?」

つくしの手が類の背中に回り、どちらからともなく唇を合わせた。
類の舌が、口腔内に入り込んでくると、一度は冷めた熱が身体の奥深くから湧き上がってくる。

「んっ、る、い…っ」

つくしが薄く目を開けると、バックヤードから様子を見に来た店員と目が合った。
店員は目の前で繰り広げられるラブシーンに、気まずそうに目をそらす。

「る、類…ここ、まだお店だった…」

つくしが我に返り類と距離を取るように離れた。
さっきから、自分たちは一体何をしているのだろうか。

しかし類によって、また腕を引き戻されてしまう。

「俺、まだ許してないよ?間違えて堀田に抱きつくし、膝枕したあげくに手を握られるし…」

類はつくしの手を取り、艶を含んだ目を向けると指をペロリと舐めた。
それを見ていた女性店員は、類の振り撒く色気に圧倒されたように真っ赤になる。

「…っる、る、るいっ!」

つくしは店員と類とを交互に見ると、手を離そうともがくが、強い力で押さえられて離すことが出来ない。

「堂々と…嫉妬してもいいんだよね?」

口の端を上げて、フェロモンだだ漏れ状態の類に耳たぶを甘噛みされる。

そ…そういう意味じゃないっ!

***


皆さまからの拍手、コメントとても励みになります!
ありがとうございます!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキングに参加しています!ポチッとお願いします(^-^)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

秋の空は恋の色 10

秋の空は恋の色 10


「美味しい〜!!」
「ここのパンケーキは絶品なんだ。昨日の夜は和会席だったからね。朝は多少重くてもいいだろう?」

堤がにこやかに言うと、つくしは不思議そうに店内を見渡した。

「でも、こんなに美味しいのに…なんでガラガラなんだろう…」
「ああ、内緒話をするには適さないだろう?少しの間貸切にさせてもらったよ」

当たり前のように言う堤もまた、F4よりの人間ということらしい。

「内緒話?」
「堤専務が昨日会っていた人物と関係がありますか?」

類が切り出すと、堤は驚きもせず頷く。
予め調べるであろうことは想定内ということか。

堤に話し掛ける類をチラリと見ると、いつもつくしに見せる優しげな王子様スマイルではない。
眉を寄せ難しそうな表情をする類はつくしにとっては新鮮で、その精悍な顔付きに鼓動が早くなるのを感じて目をそらす。

しかし、類の笑顔がつくし限定で、寧ろ笑顔の方が貴重であることをつくしは知らない。

「話が早いね…。実は、昨日こっちに来る前に突然電話があってね。旅行に行くから無理だと話をしたんだが、どうしてもと言うので仕方なくここまで来てもらったんだよ」
「話の内容は、堤産業との技術特許契約ですね…?」

技術特許契約とは、特定の特許技術を一定の特許料を対価として、相手企業に提供する契約だ。

花沢は堤産業のもつ、介護ロボットや先進医療機器の技術で、週明けに特許契約を結ぶことになっていた。
一から開発する必要がなく、ノウハウを提供してもらうことで、大幅な時間短縮をすることができる。

「ああ、うちが花沢と契約する直前にだからね…。さすがにきな臭いものを感じて、返答は保留にしている」
「うちの昨夜の会食相手は、医友会でした…。堤専務に接触してきたのは…」
「同じ医友会の幹部…だね」

堤はため息を吐くと、仕事の話に入っていけないつくしに笑いかける。
きっと気を使わせているのだろうと、大丈夫だとでも言うようにつくしも笑みを返した。

「やはり…花沢を落として、堤産業と専属で契約を結びたい、と考えるのが普通ですね」

類の話を聞きながら、目の前のパンケーキを食べないまま残すのは勿体無いと、つくしはモグモグ口を動かす。

「そうだろうね…。うちにとっては何のメリットもない話だったのだが、こんなものが届いてね」

花沢との契約を止めろという、脅迫状のような手紙を堤は見せた。

「花沢と契約を結ぶまで…と言っても明後日だが、そちらにも何かしら仕掛けてくるかもしれない。つくしさんにはSPが付いているようだが、少し無防備なところがあるようだからね」

突然話を振られて、しかも類にも何度となく言われていることを、堤からも指摘されると立つ瀬がない。

「す、すみません…」

しかし、脅迫状と聞いて恐ろしくなった。
自分より…類は大丈夫なのだろうか。

類は、心配そうに見つめてくるつくしの太ももにさりげなく手を置いた。
それはつくしを安心させるための行動かと思っていたが、どこか違和感がある。

そしてその手がテーブルの下でスカートを捲り、直に太ももを撫でる動きへと変わってくる。

「…っ」

本当に、心配してるのにっ…。
こんな時にっ!

つくしは睨むように見るが、堤へと顔を向けている類にはまるで効果はない。
それよりも段々と際どいラインまで上がってくる手に、荒くなりそうな息を抑え平常心を保ち、堤にバレないようにすることで必死だった。

「ご忠告ありがとうございます。充分気を付けますし、私が側にいますから。それに…花沢としては、以前にお話しした通り専属でとは考えておりません。むしろ、その技術を世界にも広げてほしいと思います」

ついに太ももの間に入ってくると、指がショーツの上を何度も行き来する。
ジワリとショーツが濡れてくるのがつくしにも分かり、恥ずかしさで涙目になって俯くしかなかった。

「ああ、うちもそのつもりだよ。医友会は経営が苦しいと聞く、動機はこの技術の生み出す利益だろうね」
 
堤は、不安そうなつくしを安心させるように、テーブルに置かれたつくしの手を優しく握った。
それに気付くことが出来ないほど、つくしの意識は下半身に集中している。
類の指が、ショーツの隙間から秘部を撫でるように動く。
既にヌルヌルのソコは、類の指を喜び中へと誘う。

声…っ、もぅ無理…。

つくしは必死に口元を押さえる。
こうなったらトイレと言って席を立つしかないと思っていた。
その間も、指は音を立てないようにゆっくりとつくしの内部へと入ってくる。

お願いだから、堤さん早く帰ってっ…。

「つくしさん…申し訳ない、つまらない話を聞かせてしまって。僕はそろそろ行くから、あとは2人でゆっくり食事を楽しんで」
「ええ、ありがとうございます」
「あ、りがとう…ございます…っ」

つくしに向けられた堤の笑顔に応えたのは類で、堤が店を出るまでつくしは顔を上げることが出来なかった。

「る、いっ!何で…こんなこと…っ」
「とりあえず…イカせてあげる。黙って…奥に人がいるからね」

人払いをしていたおかげで、店員も表には出てこずスタッフルームで控えているようだ。
しかし、大きな声や物音を立てれば何事かと出てくるかもしれない。

類はキスでつくしの唇を塞ぐと、指の動きを一気に早く激しいものへと変えていく。

「んんんっ!」

店内に流れるBGMが、つくしの身体から発するいやらしい音をかき消してくれているが、つくしの耳には指の出入りするグチュリという音がしっかりと届いている。

「……っ!!!…ん、ぁ、はぁはぁ」

類の指がつくしの最奥を突くと、足がピンと張り身体をビクビクと震わせた。
同時に塞がれていた唇がようやく離れていく。


***


皆さまからの拍手、コメントとても励みになります!
ありがとうございます!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキングに参加しています!ポチッとお願いします(^-^)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

オダワラアキ

Author:オダワラアキ
オダワラアキの二次小説・二次創作置き場へようこそ。
ひるなかの流星・花より男子・日々蝶々・君に届け・会長はメイド様の二次小説・創作置き場です。黒バス黄黒、青黒BLも書いております。
現在はオリジナルばっかりになってしまったなぁ。

こちらを読むにあたって下記注意点をお読みになってからお進みください。

このサイトは原作のある漫画の二次創作、小説です。

同人誌や、二次小説(2次創作・夢小説)に抵抗のある方はウィンドウを閉じてください。
原作者様、出版社とは全く関係ありません。

小説の無断転記、複製、配布を禁じます。

最新記事
カテゴリ
フリーエリア
リンクフリーです
オダワラアキの二次小説置き場



検索フォーム
リンク
最新コメント
花男お友達ブログ

駄文置き場のブログ 星香様


clover crown aoi様


明日咲く花 asuhana様


上を向いて歩こう 青空心愛様


gypsophila room   Gipskräuter様


天使の羽根 蜜柑一房様


おとなのおとぎばなし miumiu様


類だ〜いすき りおりお様


Beautiful days やこ様


君を愛するために こ茶子様
月別アーカイブ
Twitter