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まんまるお月さん(asuhana様より頂き物)


イベント 類くんを狼にしちゃおう〜あたしを美味しく食べて〜
にご参加いただいた明日咲く花asuhana様からいただいたお話です♬
asuhana様からのコメントは終わりに載せております。

何度も何度もしつこいですが(笑)
無断転勤、コピー、配布はご遠慮ください。




まんまるお月さん


何気にとった雑誌に、気になる見出し発見!

「なになに、ふむふむ。へぇーっ」

「っん、牧野どうしたの?いつになく真剣じゃん?」
いつの間にやって来ていた類に、声をかけられる。

気になる記事をバタンッと閉じて後ろ手に隠す。
「ううん、なんでもないよ」

小首を傾げて覗こうとするビー玉色の瞳をもつ王子様。もとい類。

あたしは、ニコッと笑いながら後ろ手で、雑誌を棚に置き、類を促して店を出る。

「買わなくて良かったの?」
ポワァワァーンとなっちゃうくらいに素敵な瞳に見つめられ、吸い込まれそうになちゃって慌てて目を反らす。

「あっ、うん。大丈夫」

心臓が口から飛び出しちゃうんじゃないかってくらいに、ドキドキしてる。

気持ちを落ち着かせるために、小ちゃく、息を吐く。
「ふぅっーー」
月に雲がかかってるからって、油断してドキドキしちゃダメ。今日は満月だよ。

「あっ、食べる?」
綺麗な包みに包まれたキャンディーを一つ手渡してくれる。
不思議な色のキャンディーは、甘くて美味しい。
それなのに‥‥いつの間にか、味じゃなくて、ころころと口の中で転がす感覚を楽しんでいる。

空を見上げれば、雲の隙間からお月様が見えそうで‥‥
ゴクッ うぅっ 躯の奥が揺らめいちゃって

「牧野、さっきから無口だけど、お腹でも空いた?」
暢気な声がする。

ゴクッ お、お、美味しそう。

「あっ、うん‥‥満月だからかな‥あはっ」

キョトンとした顔で、
「満月だから?くくっ、そんな狼男みたいなこと言って」

狼男‥ジュルッ 美味しいかな? きっと美味しい。うん間違いなく美味しい。

ゴクッ ジュルッ 餓えが止まらない。
お月様が、少しずつ少しずつ顔を出してくる。

だめだめ‥雲さん、そのままお月様を隠しておいて‥
だめだめ‥止められなくなっちゃう。

そう思うのに‥‥あたしの瞳は、お月様を見つめたまま目を離せない。

あたしの目の前に、類が顔を出す。
ゴクリッ 美味しそう。この艶かしい唇を貪りたい。

「どうし‥」
全ての言葉がいい終わらない内に、あたしは転んだ振りをして類の胸に飛び込んだ。

ジュルリッ 雲の合間から満月が顔を出す。
キラリッ あたしの瞳の中に焔が灯る。
フワリッ 牡を落とす牝の匂いをまき散らす。

大きな瞳をウルウルさせて、唇を少ぅしだけ開け、あたしは類を見上げる。
類の唇が、あたしの唇と重なって吐息が一つになる。ほんの少し放たれた唇から長い舌が侵入してくる。舌を絡めとり、唇で吸い上げる。
ツッツゥーーーと 微かに開いた唇から、透明な液体が漏れていく。
類の唾液を逃さぬように、吸い上げる。

あぁ‥‥‥美味しぃ 体液は、エナジーだ

「‥‥牧野‥‥」
類があたしの名を呼び、車に押し込めた。

目の前から、まん丸のお月様は見えない筈なのに‥‥一度味わった快楽が、あたしの中を駆け巡り、ズキンッと疼きを押し上げていく。
類の肩に頭を凭れかける。
美しい指先が髪を掬いあげ、項をペロリと舐め上げる。

「‥‥ぅぅっ‥‥うっ‥」
堪えようと思うのに‥‥声が快楽が外に溢れて行く。

古いにしえの血が騒ぐ。ジュルジュル‥ジュルリッと。

耳許に息を吹きかけながら類が囁く。
「牧野を、つくしを食べちゃいたい」

ゴクリッ‥あたしもあなたを食べちゃいたい。
ジュルリ‥欲望を押し殺し、コクリと小さく頷いた。

あたしの中の欲望が蠢く。ニュルリ‥子宮の奥底が口を開けている。

駐車場から直通のエレベーターに乗り込む。
乗り込んだ瞬間に、再び口づけが落とされて、頭の中を欲望が駆け抜ける。
類の唾液があたしの口の中に入って来る。ジュルジュルと‥
なだれ込むように、部屋に入る。
類の指先が止まらない。愛液がショーツを濡らして行く。
「つくし、美味しそうだ」
類、あなたも美味しそう。

ブラウスの釦が乱暴に外される。胸元のブラジャーのホックが外されて‥胸が露になる。
円を描くように、乳輪をなぞる。ゆっくりとゆっくりと。ツーンと乳首が主張を始める。指先で弄って、口に食む。

「食べちゃいたい‥」

あたしも、あなたを食べちゃいたい。

指で唇で舌で。全身が愛撫される。
ツツッ-ツーと指の腹で撫で上げられて‥躯がビクビクと小刻みに揺れる。

「なんて、美味しそうなんだろう。指挿れるね」

花弁を押し分けてあたしの中に、ヌプリ‥一本二本と指が入って来る。
痛いと思ったのは、一瞬で‥あたしの肉襞は、別の生き物のように、類の指先に絡み付く。
ぬちゃぬちゃグニュリが、ピチャピチャと水音に変わっていく。

「舐めてもいい?」

美しい瞳が光っている。
あたしの花弁を口で、食み吸い上げる。ツンツンとノックする様に、包皮を押し分け舐め上げる。

「‥うっ‥」

蜜が溢れ出す。牡を誘う蜜がこれでもかこれでもかと言う程に。

指で、唇で、未経験の快楽を与えられ、身体が跳ね上がる。
陸に上がった人魚のように、跳ね上がる。

「‥っう‥あっ‥あぁ‥‥あぁーーーーー」

ピチャピチャと言う淫らな音とともに、一度目の絶頂が訪れる。

「凄いね‥つくしは、やっぱり思ってた通り。食べがいがあるね」

淫らに微笑まれた、次の瞬間‥
「一気に貫かないと余計痛いからちょっと我慢して」
そんな言葉と共に、グッ‥類の性器があたしを貫いた。

「痛いっ」

痛さに目を瞑る。
あたしを貫いた後、類の動きがゆっくりした動きになる。
痛さと共に、何かがこみ上げて来る。

ゆっくりとゆっくりと目を開ける。
類の耳がネコ耳を付けたように、上にピーンと立っていて、下半身にはフサフサとした毛の感触が‥

「類、それ‥それって」

長い舌で、自分の唇をペロリと舐め上げながら

「くくっ、赤ずきんちゃん。こんにちは」
そう言って、ニヤリと笑う。

あたしは、全てを理解する。
満月の夜、あたしがこんなにも類を求めた理由を。

「類、あたしにも食べさせて」

類の動きは、激しさを増して‥あたしの中に、白濁とした体液を放つ。

あたしの餓えが収まっていく。身体中にエナジーが漲って行く。

あたしは、赤ずきん。
牡の‥‥いいえ、狼さんの体液エナジーで、餓えを満たすの。

うふふっ あたしと類‥‥やっぱり魂の一部なんだね。


明け放たれた窓からは、まん丸のお月様が見下ろしていた。

fin

asuさま

うわぁ〜エローい!♬
いいっす…さすがRズのリーダー?(笑)
しかも、つくしちゃんが狼なのかと思いきや!だからね!
そうそう、類くんとつくしちゃんは魂の一部ですから!
素敵なお話をありがとうございました!
asuさまへのお礼はやっぱり白雪姫にしょうかな〜と考え中♬
asuhanaさまへのコメントはご本人にちゃんとお渡ししますので、コメ欄へどうぞ♬




アキさま
ふぅーーーっ、師匠‥す、す、すみません、asuには、コレが限界っす。
またいつの日か、Rズ目指して頑張りまーす。
楽しい企画ありがとうございまぁす♪

ふぅっーー お目汚し失礼致しました。

asuhana

asuhanaさまの他のお話を読みたい方はこちらから
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明日咲く花



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しっぽのきもち(星香様より頂き物)

こちらのお話はアゲハプロジェクト?の参加御礼にと
駄文置き場のブログ星香様(リンク)より頂いたお話になります。
コピー、無断転載などご遠慮ください。
コメントくださった方はキッチリと星香様へ届けさせてもらいます♬
可愛いお話で私も類くんに纏わりつきたくなりました(笑)
星香様ありがとう(≧∇≦)
では、どうぞ〜♬

***

『しっぽのきもち』


外階段から何時もの場所へ上がる。
ある冬の晴れた日。
外気温はかなり寒くなったが、いつもの非常階段は、冬の陽射しを受けて温かいから…
そう思うとつくしの足取りも速くなる。
否、理由は他にも…

上がったいつもの特等席には、つくしが思った通り先客が居た。
壁に寄りか掛かるようにし、少し小首を傾げ眼を瞑る…
-間違い無く眠っている、類の姿。

-やっぱり居た…。
そっと近付くと、類は1人ではなかった。
と、言っても2人ではない。1人と1匹。
類の隣で猫が1匹、丸くなって眠っている。


「…へぇ…野良猫…? じゃないよね…?」

類を起こさないよう、小声で呟く。
類同様、眠る猫は毛並みも良く、つくしの知る雑種猫とは違う。
ペットにそう詳しい方ではないが、雑誌などで見る、血統書付きと言っていい種類なのだろう。

「…花沢類のかな…?」
つくしが首を傾げる。

元来、何事にも執着せず、面倒見が良い方とは決して言えない類だが、
自分が気に入ったものには、驚く程手を掛ける。
態々ペットを飼うとは思えないが、もしかしたら気に入ったのかもしれない。

ペットは飼い主によく似ると言う。
そういう目で見ればこの猫も、どことなく類に似ている気がする。

つくしがじっと見つめていても、起きる気配は無い。
眠る。ひたすら眠る。
何処か品のいい顔立ち。するりと伸びた、長い尻尾。


-そういえば花沢類も、どちらかと言えば猫系だよね…

警戒心が強く、他人を寄せ付けない。
なのに、心を開くとするりと近付いて来る。
普段は気まぐれでマイペースなのに、こちらが淋しい時、すっと近付き、一緒に横に居てくれる。
何をするでも無く、只、一緒に。


司との関係が破局した時の類も、そうだった。


思い合っていても、司との別れは避けて通れなかった。
それだけ司の両肩に掛かっていた物は重く、つくしの細腕では支えきれなかった。
英徳生徒達の、面白可笑しく告げる陰口や、それを擁護する声。
すべてが辛かった。
蔑まれる謂われはなかったが、同情されるのも御免だった。

逃げるようにここに来た時、類は黙って隣に居た。
慰めの言葉も、司に対する批判も、何も言わず、ただ黙って一緒に座る。
つくしが俯く。声も上げずに泣くつくしの姿を、類は見ない。
きっと、気付いている。でも、気付かないふりをしてくれている。
その心遣いが嬉しかった。
穏やかな時間が流れ、落ち着いたつくしが立ち上がった時に一言だけ告げる。

「気が済んだ?」

つくしが頷くと、類も立ち上がり、ゆったりと非常階段を降りて行く。



類が眠る隣で、猫も眠る。
長い尻尾がにゅっと動き、類の足に擦り寄る。

しっぽがゆらゆら、類の足にすりすり。

-…いいなぁ…猫の尻尾…。

微笑ましい風景なのだが、ちょっとだけ隣で眠る猫が
-正確には、その尻尾が羨ましい。
類に触れられるから。尻尾なら、何の気兼ねもなく。
ううん。どうせなら、類という猫の尻尾の方がいい。
そうすれば、ずっと傍に居られるのに…。
出来ず筈も無い考えが、つくしに浮かぶ。





隣に眠る猫を間に挟み、寄り掛かるようにして類の隣に腰を下ろすと
丸くなっていた猫が首を擡げる。
寝ぼけている様子だが、寒さで人肌が恋しくなったのだろう。
するりとつくしに近付き、その腕の中に飛び込んで来る。


「あ…猫ちゃん…。駄目だってば…」

すりすりしてくる毛並みがくすぐったく、つい声を上げ、次の瞬間慌てて隣を見る。
類が起きる様子は無い。

「ほら…花沢類が起きるから…。静かに…。ね?」

言って聞くのかは判らないがつくしがそう告げると、猫は了承した、とでも言うように再びすりすりしてくる。




『…もう、くすぐったいよ…』

笑いなら告げる声。聞き慣れた声が類の耳に届く。
ぼんやりとしながら薄目を開けると、隣でつくしが猫と遊んでいる。
野良猫、と言うには少々品が良い猫。

-牧野が飼う…? 訳ないか…。迷い猫か…?

最近、大学にペットを連れてくる輩も居るという。
類は別に気にしたことなど無かったが、恐らくそれが逃げ出したのだろう。
それより…



-そういえば牧野も、どちらかと言えば猫系だよな…
気が強く、意地っ張り。
なのに、本当は何処か脆く、淋しがり屋。

司と別れた後、広がるつくしへの悪評の中でも、毅然とした態度を貫いていた。
心配そうにつくしを見る、総二郎達にも笑顔で「大丈夫」と答える。
一人で泣かせたくなかった。だから隣に居た。
つくしが俯く。泣いているのかもしれない。否、泣いているのだろう。
でも類は、気付かないふりをする。
つくしが、そうして欲しいと望んでいる気がして。
穏やかな時間が流れ、落ち着いたつくしが立ち上がった時に一言だけ告げた。

「気が済んだ?」

つくしが頷くのを確認して、何事も無かったように非常階段を降りて行く。



つくしの腕の中で、猫が戯れる。
長い尻尾がにゅっと動き、つくしの腕に擦り寄る。

しっぽがゆらゆら、つくしの腕にすりすり。

-…ナンダ…あの猫の尻尾…。

微笑ましい風景なのだが、ちょっとだけつくしと戯れる猫が
-正確には、その尻尾が羨ましい。
つくしに触れられるから。尻尾なら、何の気兼ねもなく。
否。どうせなら、つくしという猫の尻尾の方がいい。
そうすれば、ずっと傍に居られる。ずっとずっと、永久に。
出来ず筈も無い考えが、類に浮かぶ。



何とも不機嫌、に近い気分を抱えたまま寝たふりをしている類と、それを知らず猫と戯れるつくしの耳に、呼び声が聞こえる。


『何処ー? エリザベス。何処なのー?』

非常階段下からの呼び声に、つくしの手の中の猫は一声鳴くと、するりとその手をすり抜けて行く。
器用に階段を降り、やがて飼い主の手の中へ。

つくしが思わず立ち上がりそれを上から見ていると、寝たふりをしていた類もそれに習った。

「…あれ? 花沢類、起きたんだ」
「…ん…まぁ…」
曖昧に言葉を濁す。


飼い主に抱かれた猫は、類達を見向きもしない。
只、にゅっと伸びたしっぽがゆらゆら。
まるで類とつくしに『頑張れ』と告げるかのように。
何となく、顔を見合わせる2人。


-やっぱり…尻尾になるより、こうして傍に居られる方がいい。



お互いそんなことを考えた、ある冬の晴れた日の出来事。



-fin-

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アゲハ蝶つくしver.(星香様より頂き物)

アゲハ蝶つくしver.(星香様より頂き物)


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隣に眠る顔を見つめる。
何時も他人に見せる、不機嫌そうな顔ではなく、
無防備な、少年のような柔らかい寝顔。
つくしだけが知る、類の顔。

その頬に触れたくて手を伸ばし、それを止める。
思い切るようにそっと起き出し、足音を立てないようバスルームへ向かう。
シャワーを浴びる。
温かいシャワーを浴びているというのに、心は冷えていくのが判る。

バスルームから出て、鏡に映る自分の姿を見る。
首筋、手足、胸元。
類が触れていない処など無いと言うのに、その形跡は何処にも無い。
つくしを思っての類の行動。
それが、たまらなく淋しい。
そう思った刹那、自嘲気味に笑う。

-類の優しさにつけ込んでいる自分が何を…。
勘違いしてはいけない。

かつては絶対持つことのなかった、有名ブランドの特注品クラッチバック。
その中から化粧道具を取り出し、慣れた手つきで仮面を施す。
作った笑いと共に。

ドアを開け出て来たつくしは、来た時と同じ姿をしていた。
服は勿論、ストッキング、髪型、すべて同じ。
何事も無かったかのように、情事の跡を消す。


「…じゃあ…行くね」
「……ん……」

短い会話。閉まるドアの音。
美しい揚羽蝶を残して去る瞬間。



こうなったのは何時からなのだろう。
もう、はっきりとは覚えていない。




『結婚して欲しい』という、人並みのプロポーズを受けたのは、
大学を卒業して数年後。
相手の顔の中に、ビー玉の瞳を重ねたのは一瞬だけ。
直ぐにそれを頭の中から消し去った。
花沢家にも招待状を出すという言葉に、
会社宛の方が良いのでは? と進言したのはつくしだ。

-花沢類には、隣に立つのに相応しい人が居る。
僅かに浮かんだ胸の痛みは、奥底に追いやった。



それから1年後。
何時になっても慣れないパーティ会場。
会話の裏に潜む棘を作り物の笑顔でかわしていた時、
会場内に舞い込んだ蝶を見付けた。
闇を舞う月光蝶。この世のすべてを魅了するかのようなその姿。
つくしの眼が釘付けになる。

華やかなパーティの場だというのに、
愛想笑いのひとつもせず辟易した表情を見せる。
その変わらない姿勢に、懐かしさと共に別の感情がこみ上げてくる。

眼が、合う。

類は足早に近付いて来たと思った途端、優雅な仕草でテラスへ誘う。
そこで手渡されたのは、つくし好みのノンアルコールカクテル。
装う必要のない安堵感に思わず
「花沢類。久しぶり…」と、昔のような言葉が出た。

話したのは、一言、二言、他愛の無い話を少しだけ。
後は並んで、夜風に身を任せる。
非常階段に居る時のように。
つくしの笑顔が昔のそれに戻る。
類も穏やかに笑う。
静かな時間。
それが、中からつくしを呼ぶ声に破られる。

「…行かなきゃ…。じゃあ…」
つくしの表情が作られたものに戻る。

「…牧野…」

光の中の、魑魅魍魎の巣窟へ足を向けるつくしに声を掛ける。
今となっては、正しいとは言えない名で。

「寄っかかっていいよ」
「…え…?」
「前にも言ったろ…?」
「…そうね…」

少し、ほんの少しだけ、取り繕った笑顔という仮面が崩れる。
が、それも一瞬。
次の瞬間には偽りの作られた笑顔を貼り付ける。
類に、その顔を見せるのは、何故か苦痛でしかなかった。




夫婦仲は決して悪いものでは無く、夫を嫌いな訳では無い。
が、今のつくしが身を置く世界の人物は、
信じられないほどの選民意識に浸っていた。
頭では判っていた。それを承知で結婚したのだから。
だが、いざとなってみれば、その覚悟が如何に甘かったかを思い知らされる。
狡猾な『上流階級』の方々は、決して夫の前では牙を見せず
だが、つくしの顔を覆う扇の先に、カンタレラの毒を仕込む。



最初は只、一緒に居て欲しいと頼んだ。
人目を気にしなくていいよう、類が部屋を用意してくれる。
2人並んで座り、何をするでもない時を過ごす。
時間が来れば、お互い在るべき場所へと戻るだけ。

眠れない。
そう告げれば、類は手を握り眠らせてくれる。
昔、大河原の別荘での夜のように。
ほんの一時、類が手を取るそのときだけ、安心して眠ることが出来た。

- 一線を越えたのは何時からだろう?

つくしはぼんやり考えるが、やはり思い出せない。
それ程、類との逢瀬を重ねた。

つくしは疲れると、類の元へ急ぐ。
類が大きな羽を広げ、つくしを覆うように抱きしめてくれる。
沢山の接吻をくれる。愛していると囁いてくれる。
でもつくしは、同じ言葉を類に言う事はできない。決して。

-だって類は、私を哀れんでいるだけだから。
類が羽を休める、薔薇の花にはなれない。
只、類が望むなら…と、身体を差し出すだけ。


狂おしい程の情事の後、何事も無かったかのようにつくしは部屋を出て行く。
「じゃあ、行くね」と告げて。


類一人を残す切なさ、それでもつくしはこの逢瀬を止めることが出来ない。









今夜も退屈なパーティがある。

夫の横で作り笑いの仮面を付ける。
忙しなく動いていると、何やら空気が動く気配。

入り口現れたのは、一際大きな羽を持つ揚羽蝶。
蝶の隣には、大輪の薔薇。
誰からとも無く「お似合いね」「遂にご婚約なさったそうよ」
というさざめきが広がる。


類がこちらに近付いて来る。大輪の薔薇と共に。
一瞬、繕った仮面が崩そうになる。
類の隣に、いつもは居ない薔薇が居ることが、こんなにも苦しい。

それでも、近付いて来た類に笑顔を見せる。
作り物の笑顔。

2日前に会った類に「お久しぶりです」と告げ、
類の隣で芳香漂わせる薔薇に「おめでとうございます」と声を掛ける。




いっその事、類という揚羽蝶の羽を掴んでしまえばいいのだろうか?
そうすれば、類を共に居られるのだろうか?

幾度となくつくしを襲った考え。

それは違う。
即座に否定する。

羽を掴まれた蝶は、飛び立つことが出来ず死んでしまう。
骸を側に置きたい訳では無い。


蝶は生きるために、自ら羽を休める場所を探さないといけないのだから。
そのために必要なのが、大輪の薔薇。今、類の隣にあるような…




きりりと痛む胸を隠そうとするつくしに、類が手を差し出す。
薔薇の棘をなぎ払い、漆黒の羽を広げ、つくしの言葉を待つ。


只、一言でいい。
自分のその一言で、取り巻く世界がすべて変わる。
それを得るためにならば、何を失っても構わない。




そして蝶は、羽を休める場所を得る。
荒野の中、只一つのオアシスを。


***


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アゲハ蝶類ver.(星香様より頂き物)

アゲハ蝶 類var.(星香様より頂き物)
お題を頂きお話提供させて頂きました。
星香さんのブログにて3日日曜日の、12時アップになります。↓
駄文置き場のブログ

こちらは、同じお題の星香さんが書いたお話です♬
すでに皆さん読まれてるとは思いますが(笑)






隣に横たわる気配が動く。
そっと起き、足音を立てないように歩くのはいつものこと。
眠る類を気遣っての行動なのだが、
側にある温もりが離れた時点で目が覚めることを、彼女は知らない。
聞こえて来る水音に、類が僅かに目を開ける。
それも止みしばらくした後、出て来たつくしは、来た時と同じ姿をしていた。
服は勿論、ストッキング、髪型、すべて同じ。
何事も無かったかのように、情事の跡を消す。


「…じゃあ…行くね」
「……ん……」

短い会話。閉まるドアの音。
華やかな蝶が飛び立つ瞬間。



こうなったのは何時からなのだろう。
もう、はっきりとは覚えていない。




大学を卒業し、次期社長としての仕事を始めるため、日本を離れ数年後。
つくしが結婚をするという噂が届いた。
類の元に、個人宛ではなく会社宛に届いた招待状。
理由を付けて別の役員に行かせた。
聞けば花嫁は美しく、幸せそうな顔をしていたという。


-牧野が笑っていればそれでいい。
僅かに浮かんだ胸の痛みは、奥底に追いやった。



それから1年後。
普段は殆ど行くことのないパーティ会場。
退屈な会話と愛想笑いに辟易していたとき、会場内を舞う蝶を見付けた。
闇を舞う月光蝶。この世のすべてを魅了するかのようなその姿。
類の眼が釘付けになる。

つくしは笑っていた。幸せそうに。
けれどそれは、表面だけ作った笑い。
美しく着飾った羽は、どの蝶よりも華やかなのに、
気を抜けばボロボロに崩れてしまいそうな程に脆かった。

眼が、合う。

刹那、足早につくしに近付き側に居る夜光蛾に冷たい一瞥をくれると
ぞっとつくしをテラスへと誘い出す。
アルコールの弱いつくしの為に、ノンアルコールカクテルを差し出すと
安心したように「花沢類。久しぶり…」と笑う。

話したのは、一言、二言、他愛の無い話を少しだけ。
後は並んで、夜風に身を任せる。
非常階段に居る時のように。
つくしの笑顔が昔のそれに戻る。
類も穏やかに笑う。
静かな時間。
それが、中からつくしを呼ぶ声に破られる。

「…行かなきゃ…。じゃあ…」
つくしの表情が作られたものに戻る。

「…牧野…」

光の中に足を向けるつくしに声を掛ける。
今となっては、正しいとは言えない名で。

「寄っかかっていいよ」
「…え…?」
「前にも言ったろ…?」
「…そうね…」

少し、ほんの少しだけ、造られた表情から本当の笑顔が垣間見える。
が、それも一瞬。
次の瞬間には華やかな羽と作られた笑顔で、光の中
-否、荒野の中を羽ばたいて行く。
類はそれを、黙ったまま見つめていた。




つくしの夫婦仲は決して悪いものでは無い。
が、今のつくしだけでなく類自身も身を置く世界は、
選民意識に浸る輩がうじゃうじゃ居る。
庶民であるつくしへの風当たりは強い。
類の耳に届くものだけでも、それ相応の数。
つくし自身に届くものは、一体どれほどのものなのだろう?
狡猾な夜光蛾達は、決して表立って攻撃することはせず
けれど確実に、華やかな蝶を蝕む。



最初は只、一緒に居てくれと言われた。
人目を気にしなくていいよう、用意した部屋で2人座り
何をするでもない時を過ごす。
時間が来れば、お互い在るべき場所へと戻るだけ。

次第に眠れぬというつくしの手を握り眠るようになる。
昔、大河原の別荘での夜のように。
ほんの一時だけ、安心したように眠るつくしの髪を撫で
その髪の毛の先にキスを落とす。

- 一線を越えたのは何時からだろう?

類はぼんやり考えるが、やはり思い出せない。
それ程、つくしとの逢瀬を重ねた。

つくしが疲れた羽を休めに、類の元へと来る。
類がつくしを抱きしめる。
沢山の接吻を落とす。愛していると囁く。
でもつくしは、同じ言葉を類には言わない。決して。

-俺を、愛して。
その一言が類には言えない。
只、つくしが望むなら…と、身体を差し出すだけ。



狂おしい程の情事の後、何事も無かったかのようにつくしは部屋を出て行く。
「じゃあ、行くね」と告げて。


一人残され、それでも類はこの逢瀬を止めることが出来ない。






今夜も退屈なパーティがある。

類の隣には、着飾った夜光蛾。
両親が、何時までも結婚しない類に無理矢理宛がったという婚約者。
顔はおろか、名前すら覚えていない。
左手に纏わり付く感覚が嫌で仕方がない。
無表情の中に僅かな嫌悪感を見せるのだが、夜光蛾は気にせず
上機嫌に光の中を目指す。

中に待つのは美しい揚羽蝶。
月の光を浴びて輝く月光蝶の元に、類は急ぐ。

つくしが類に気付く。
一瞬、驚きの表情を見せる。
類の隣に何時もは居ない夜光蛾が居ることに。

近付いて来たつくしが笑顔を見せる。
作り物の笑顔。

2日前に会った類に「お久しぶりです」と告げ、
類の隣で鱗粉をまき散らす夜光蛾に「おめでとうございます」と声を掛ける。




いっその事、つくしという揚羽蝶の羽を掴んでしまえばいいのだろうか?
そうすれば、つくしを手に入れられるのだろうか?

幾度となく類を襲った考え。

それは違う。
即座に否定する。

羽を掴まれた蝶は、飛び立つことが出来ず死んでしまう。
骸を抱きたい訳では無い。


蝶は生きるために、自ら羽を休める枝を探さないといけないのだから。
ならば、類に出来る事はひとつだけ。



類が手を伸ばす。
夜光蛾の鱗粉を払い、孤独な揚羽蝶の言葉を待つ。

只、一言でいい。
つくしのその一言で、取り巻く世界がすべて変わる。
それを得るためにならば、何を失っても構わない。




そして蝶は、羽を休める場所を得る。
荒野の中、只一つのオアシスを。

***


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プロフィール

オダワラアキ

Author:オダワラアキ
オダワラアキの二次小説・二次創作置き場へようこそ。
ひるなかの流星・花より男子・日々蝶々・君に届け・会長はメイド様の二次小説・創作置き場です。黒バス黄黒、青黒BLも書いております。
現在はオリジナルばっかりになってしまったなぁ。

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このサイトは原作のある漫画の二次創作、小説です。

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