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花火 最終話

花火 最終話


都会の一駅は短い。
それは転校してきて一番驚いたことだった。
歩いても10分掛からない距離に、次の駅があるなんて、都会の人は歩かないんだと驚いた覚えもある。
まるで抱き締められるように触れ合った時間は、僅か1分ほどだった。

「みんな降りるんだ…凄い人…っわぁ」
「おまえはっ、さっきから!人混み慣れな過ぎだろ…ほら」

仕方ないとでも言うように差し出された手は、去年みたいに振りほどいたりしない。

「ありがとう。でも、馬村…大丈夫?」
「何が?」
「赤くなるから…嫌かな、と」

すずめは繋いでおいて何だけどさ、と口を尖らせる。
嫌だと言われても離したくないのは、すずめの方だ。

「んなこと気にしてたら、おまえにずっと触れないままだろうが」
「へっ?さ、さわ…」
「………」

勢いで言った馬村も、言われたすずめも赤くなって目をそらす。

「ほら、行くぞっ」

馬村はすずめの手を引いて歩き出した。



人は多かったが、まだ夕方の時間帯で花火が始まるまでは2時間以上あった。
馬村が持って来ていた2人用のレジャーシートで場所を取ると、屋台を見て回ることにする。
繋いだ手が徐々に熱を上げ、相手にもっと触れたいと思ってしまうのは、仕方のないことだ。
そんな気持ちを振り払うかのように、すずめは明るい声で屋台へと歩いて行く。

「たこ焼き、イカ焼き、りんご飴…全部食べたいなあ〜。どうしよう馬村…」
「食い意地ばっかだな…」
「ゲソからあった!!!行こうっ馬村!」

結局すずめに引っ張られるようにしながら、どんどん買い込んでいく。
2人で食べられるのだろうかと、心配な量だ。

「これで花火ゆっくり見られるね!」

シートの場所に着くと手を離す。
よほど熱を持っていたのか、離した手は夏にも関わらず外気に触れるとヒンヤリとした。

レジャーシートに腰を下ろすと、すずめはお気に入りのゲソの唐揚げを食べながら空を見上げた。

「やっぱり都会じゃ星は見えないかあ」

遠くを見るすずめのその横顔が、いつも見せる顔と違っていて、馬村はつい見惚れてしまう。

「そりゃあ、これだけ周りが明るければな…あ、もうすぐ花火始まる」

すずめは食べる手を止めて、シートにゴロンと横になった。
ドンという音と共に、空に色とりどりの美しい花を咲かせるが、それを見ることは叶わなかった。
周りにいる全ての人が上を見上げる中、馬村の唇がすずめの唇に重なる。

「ん…」
「食べかす付いてる」

一度唇を離し、放心状態のすずめにそう言うと、またゆっくり顔を近づけていく。

「ま…む…っ、んっ…」

唇の周りを舌で舐められ、そのまま唇を合わせる。
もう花火の大きい音すらすずめの耳には届かない。
角度を変えて唇を合わせるチュッという湿った音が、やけに大きく聞こえ、思わず馬村の腕を必死に掴んでいた。

「はぁ…ふっ…んっ」

息苦しさで口を開けると、下唇を口に含まれ息苦しさとは違う声が口から漏れた。

「これ以上は…ヤバイな…」
「ま…まむ、まむ…」

すずめは頬を染め目に涙を浮かべて、横になりながらぎゅうぎゅう馬村の腕を掴む。
動揺するその仕草すら愛おしく、馬村は身体を起こすとすずめの頬を撫でた。

「悪い…」

すずめも身体を起こすと、どうしていいか分からず手で顔を隠す。

「謝ることじゃないけど…う、嬉しかった…し」

自分より赤いのではないかと思うほど真っ赤な顔で、それを隠すように馬村の肩口に顔を埋める。

「おまえな…こういうの余計に可愛いんだけど?」
「えっ?」

顔を上げると、互いの顔が近くにある。
すずめはさらに慌てて、後ろにひっくり返りそうになると、馬村が腕を取った。

「わっ!…あ、ありがと」
「んなに、警戒しなくてももうしねえよ、今日は」
「今日は…?」
「ほら、見るんだろ。花火」

馬村の言葉に、まぁいいかと空を見上げると、馬村がすずめの手を取り指を絡めてくる。
互いに触れていたいという気持ちが同じであることが、すずめにとっては嬉しいかった。

来年一緒に花火を見る頃には、手を繋ぐこともキスをすることにも、もう少し慣れているかもしれない。
再来年には、こんなにもドキドキした気持ちを忘れているかもしれない。

ずっと先の未来、隣にいるのがあなただったとしたら、きっと花火を見るたびに思い出すだろう。

想い通じあう幸せと、胸暖まるこの気持ちを。


fin

ここまで読んで頂きありがとうございました。
ひるなかの流星二次小説は、これにて暫くお休みします。
新婚旅行編が読みたいと言ってくださった方、申し訳ありません。
飽きっぽい性格故に、長続きしないのです。
でも今更、花より男子の二次小説を書いているぐらいなので、そのうちまたひるなかも再開するかもしれません。
その頃にも、皆様がまだこのブログを読んでくださっていたら、またチェックしてみてください(*^^*)

ありがとうございました。

オダワラアキ
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Re: なな◯様

コメントありがとうございます(*^^*)

休載ごめんなさいm(_ _)m
そのうち花より男子に飽きたら、また再開するかもなので気長に待って頂けたら嬉しいです!

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Re: まあや様

コメントありがとうございます(o^^o)

あら!ひるなか読んだんですね〜わーい♬ひるなかファンが増えた!ストロボエッジも買ってましたよね!
ここの二次ブログを初めてから、ひるなか知らなかったけど読んでみますと言ってくださる方が結構いて、もう終わっている漫画なのにひるなか熱が再浮上〜だと嬉しいなと思っております♬
馬村くんの、「お前、俺のこと好きになればいいのに…」が私的にはめっちゃツボなんですよ〜
もう最後の海辺のキスシーンなんて、キュンキュン通り越してギュンギュンします!
獅子尾センセーのブレブレのところも、男くさくていいし♬

ひるなかと花男で結構似たようなのいくつかあるみたいで(笑)自分でも覚えてなかったんですけど、先日類に「これで正解?」って言わせたら、ひるなかでもそのセリフありましたね!って私の話を読み込んでくれている方からコメントがありました(笑)
卒業旅行もそうでした!北海道に行かせたんだっけかな…最後までしないやつですね!似てる似てる(笑)

馬村家のヒトコマは、まだノベリストメーンで書いてる時に、一番人気の話でしたね〜
なぜか(笑)馬村父が良かったのかな?
ひるなかは思いつくまま短編で書いていたので楽しかったです!
花男で毎日連載の長編(私にとっては)にチャレンジするようになってから、最初と最後に辻褄が合うように書かなければならないという大変さを初めて知りました。

オダワラさんのひるなかの流星の作品、2日で全て読ませて頂きました。大変、面白かったです!( ´﹀` )
久しぶりにひるなかの流星の漫画を読んで、ひるなか愛が再熱したため、二次小説を探していたところ、オダワラさんの作品に出会い、楽しませて頂きました!
馬村とすずめの絡みはもちろん、獅子尾や諭吉の登場シーンもすごく好きでした!語彙力不足のため、ありきたりな言葉でしか感動を伝えられないですが、読んでいる時間はとても幸せでした(´∀`*)
もうひるなかの流星の作品は書かれていらっしゃらないようで残念ですが、いつか、私と同じようにオダワラさんのひるなか愛が再熱するのを願ってます笑
また、オダワラさんの他の作品も読ませて頂こうと思っています!!
長文、失礼しました。

Re: おちゃ様

コメントありがとうございます!
ひるなかの二次にコメント来たのが久しぶりで、いまだに読んでくださる方がいると思うと驚きもしましたが嬉しかったです。
書いたの四年以上前なんだなと改めて読み返すと恥ずかしいばかりです。(誤字も多いし……)
今はオリジナルばかり書いているので、なかなか二次を書いている時間も取れない状況なのですが、自分の中の流行が巡り巡ってまたひるなかに辿り着くかもしれませんね(笑)

ほかの作品も読んでくださるとのこと大変嬉しく思います。
ありがとうございます。
一番最近まで書いていたのは花男かな?類への愛が溢れておりますので、ぜひどうぞ!


オダワラアキ
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Author:オダワラアキ
オダワラアキの二次小説・二次創作置き場へようこそ。
ひるなかの流星・花より男子・日々蝶々・君に届け・会長はメイド様の二次小説・創作置き場です。黒バス黄黒、青黒BLも書いております。
現在はオリジナルばっかりになってしまったなぁ。

こちらを読むにあたって下記注意点をお読みになってからお進みください。

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