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お兄ちゃんとは呼ばせない(お兄ちゃんシリーズ1)

お兄ちゃんとは呼ばせない



母の再婚相手はとんでもないお金持ちだったーーー。
1つ年上の兄が出来ると聞いて、一人っ子だったつくしは密かに楽しみにしていたのだが、食事を一緒に摂らない花沢家の長男である類と会う機会は、なかなか巡っては来なかった。

写真でしか見たことのない義理の兄は、義父によく似た美形で写真の中では少し冷たい印象だった。

でも、きっと話せば…これから家族なんだし…仲良く出来るよね

つくしの夕食が済んで自分の部屋へ戻る途中、類の部屋の前を通りチラリとドアへ視線を向ける。
時間が合わないのか、一度もそのドアが開いたところを見たことがないが、あまり外を出歩くことを好まない人らしく、部屋には居るようだ。
部屋を訪れてみることも考えたのだが、急に妹だと言われても類も困るのではないかと、行動に移すことが出来ないでいた。
実際、つくしも義父とは何度も食事で顔を合わせ、やっと最近慣れてきたばかりなのだから、初めて会う類からしたら、つくしは名も知らぬ赤の他人だろう。

部屋の前を通り過ぎようと、足を一歩進めた瞬間、類の部屋のドアが勢いよく開いた。

「い…ったっ!」

立ち止まっていたつくしは、外開きのドアに思い切り頭をぶつけることになり、あまりの痛みに蹲り頭を押さえた。
中から出て来た類も、まさか部屋の前に人がいるとは思っていなかったようで、目を見開いてつくしを見ている。

「あんた…誰…?」

耳に残る低い声が、つくしの脳天を直撃した。
ぶつかったんだから謝ってよとか、人に名前を聞く前に自分から名乗りなさいよとか、そもそも義理とはいえ妹の顔も知らないってどういうこととか、色々と言いたいことがあった筈なのに、類の顔を一目見た瞬間につくしの頭からは言葉というものが消え失せた。
パチンと頭の中で何かが弾け、周りの色が変わる。

「っていうか、頭…大丈夫?赤くなってるけど…」
「へっ…?あ、は、は、は、はいっ!あたしの頭、石頭で有名ですからっ!」
「ふっ、何それ…」

類が薄く笑い、つくしの髪をかき上げて赤くなった額に触れた。
類の笑った顔を見ただけで、幸せで嬉しい気持ちになる、触れられた場所から熱が広がりつくしの顔を真っ赤にさせていた。

嬉しいな…こういうのきっと家族愛って言うんだーーー

つくしはちょっと…いや、かなり鈍かった。



目の前に蹲る生き物…何この小っちゃいの…?

類はドアを急に開けてごめんと言うのも忘れて、蹲る生き物を見ていた。
真っ黒い長い髪に、抱き締めたら折れてしまいそうな細い腕、そして顔を上げて類を見つめる大きな瞳。
よほど額が痛かったのか、顔を真っ赤にさせて慌てたように目をキョロキョロと動かしていて、人間というより小動物を思わせる。
うさぎとか、モルモットとか…忙しなく身体を動かし落ち着きのない様子がなんか可愛かった。

あ、そう言えば父さん再婚したんだっけ…

とすれば、目の前にいるのは聞いていた類の義理の妹ということになるか。
年に数回しか会わない父親の再婚相手…と言われても、今更家族ごっこをする気もなかったし、相手だって成人した男を突然息子扱いしろと言われても難しいだろう。
仕事が忙しかったというのもあるが、そんな理由で類は顔合わせや食事には顔を出さなかった。

「こっち来て…一応冷やしたほうがいい」

類は目線を合わせる為に一緒にしゃがみ込んでいたが、義妹の手を取って立ち上がらせる。
女とまともに話すのなんて、どれぐらいぶりだろう。
数少ない友人からは人嫌いというあだ名を付けられていて、自他共に認める人間嫌いであったが、初めて会った筈の義妹には何故か気を許していた。
女…っていうより、ペットみたいだからか、その真っ黒い髪をクシャリと撫でれば、こぼれ落ちそうなほど目を見開いて、ポッと顔を染める。

目の前の義妹は当たり前だが類より年下であることは確かで、名前と年齢を何かの折に父に聞いた覚えがあるのに思い出せない。
こんな時ばかりは人の話をまともに聞いていない自分の行動が悔やまれる。
人の気持ちに決して聡い方ではない類でもすぐに気が付いてしまうぐらいの熱い視線で、義妹は類を見上げた。
真っ黒な瞳を潤ませて、化粧っ気はないのに薄く開いた赤いぷっくらとした唇が類を誘う。

いや、それは…さすがにまずいだろうーーー

そんな義妹を可愛いと思ってしまう自分の想いを必死に振り払い、類は座る場所もない部屋で仕方なくベッドに義妹を座らせると、冷凍庫からビニールに入れた氷を持って来てタオルに包む。
類が隣に腰掛け、先ほどよりも赤く腫れた額に氷を当てた。

「ごめんな…痣にならなきゃいいけど…」
「あ…だ、大丈夫です…あ、あの…っ」
「ん…?」
「類さん…ですよね…?あ、あたし…つくしです。牧野つくし…あ、もう牧野じゃないか…あ、えと…一応類さんの1つ下で…」

喋り始めると慌てる癖でもあるのか、落ち着かない様子で目の前のうさぎ…じゃない、つくしが話す。
1つ下ってことは大学生かと、ホッと胸を撫で下ろす。
どうしてホッとしたかなど、自分自身に問わなくても理由はもう分かっていた。

大学生ならいいってもんでもないけどさーーー

「つくし…って言うんだ…?」

つくしの真っ赤に染まった頬が可愛くて、類は無意識につくしの腰に腕を回し引き寄せると、真っ黒い艶やかな髪にキスを落としていた。

「…っ」

突然のことに茫然自失となったつくしが真っ赤になったり青ざめたりと忙しそうに表情を変える。
類の周りには今までいなかったタイプの人間で、つくしの声を聞いたり、オロオロと慌てる様子を見ているだけで不思議と楽しく、穏やかな気持ちになれた。

「嫌だった?」
「い、嫌なんてことっ…な、いです…」
「そ?良かった…じゃあ」

類はだいぶ赤みの引いた額から、氷を巻いたタオルを外し、冷たくなった額に口付ける。
チュッと軽い音を立ててすぐに離した唇を、目尻から頬に、頬から唇に降ろしていく。
熱に浮かされているのか涙がこぼれ落ちそうなほど目が潤み、トロンとした瞳で類を見つめていた。

「もうちょっと…していい?」
「は…い…」

今度は躊躇なく唇を重ねると、つくしが息苦しさから口を開けた瞬間、隙間を縫うように舌を滑り込ませる。
つくしの口の中は彼女の体温と同じように熱を持ち、類の舌に絡み付く。

「ん…ぁ…ふぅ…ん」

どうしていいのか分からないのか、類が舌を絡ませると逃げるように動いていたつくしの舌が、いつの間にか本能に身を任せるように類の唇を夢中で味わっていた。

「る、いさん…っ…ぁ…」
「類…でいい」
「る、い…?あ、たし…なん、か…身体が…っ」

火照った身体の熱をどうにかして欲しいのか、つくしが助けを求めるように類に視線を向ける。
きっと、火照りを抑えたいのに自分ではどうしていいのかも分からないのだろう。
類はクスッと声を立てて笑うと、あと1センチで唇が重なる距離まで顔を近付ける。
キスされると期待し思わずキュッと目を瞑ったつくしに低い声で囁いた。

「身体が…どうしたの?」
「……っ!」

ビクリと肩を揺らし、恥ずかしそうに目を反らし、消え入りそうな小さな声で分かりませんと呟いた。
身体が僅かに震えているのは、恐怖ではなく迫り来る快感のためだろう。
ギュッと類の肩にしがみ付き、身体を縮こませている。
つくしの言葉を待ち細い身体を抱き締めていたが、暫くすると腕の中でピクリとも動かなくなった。
意地悪し過ぎたかとつくしの顔を覗き込めば、あどけない顔でスースーと眠りにつくつくしの姿があった。

「マジ…?」



体温の高いつくしを胸の中に抱いていたことで、類もいつの間にか寝入ってしまったようだ。
ベッドで戯れあっていたからか随分しっかりと寝てしまったようで、気が付けば東の空は明るく色付いていた。
類が首を動かすと、キョトンとした顔で見つめ返す瞳が眼前にあった。

「おはようございます…?」

自分の家に可愛い義妹がやってきたという夢を見ていたのかと錯覚したが、目の前の恥ずかしそうに顔を赤らめるつくしの姿に、どうやら夢ではなかったようだと安心する。

「おはよ…ね、おはようのキスしてくれないの?」
「え、えええぇっ…?あ、たしから…ですか…?」
「うん…ほら」
「仕方ないなぁ…」

つくしが軽く触れるだけのキスをすると、嬉しそうに笑う。

あ、なんかこういうの幸せかもーーー

類も薄く笑って、愛の言葉を囁こうかと口を開きかける。

「お兄ちゃんってこんな感じなんですね…えへへ、嬉しいな」

つくしは本当に大学生かと疑いたくなるようなあどけない顔を類に向けて言った。
その瞳はキラキラと輝いているようにも見えて、類は信じられない思いでぐっと言葉を詰まらせる。

「……お兄ちゃん…って言った?つくし…俺がどうしてキスしたか分かってないの?」
「分かってますよ〜ふふっ、あたしのこと妹って認めてくれたってことですよね?えへへ…」
「………」

類くんの恋は前途多難のようです。


***
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